![]() ![]() ![]() 雪の日。 Wed.29.1.2012
朝、窓の外を見ると、一面の白い世界。降り続く雪が、景色をどんどん真っ白にしていく。あまりの降りっぷりに、お昼前なのに屋根から音を立てて雪が落ち始め、年上猫の牡丹、うらら、のどかは Moon Tide に書いたような有様に。一方全く平気な年下猫、紅葉と琥珀。中でも琥珀は、なにやらもごもご動く毛布に、大興奮。瞳孔が真っ黒になって、獲物に飛びかかる前の低い姿勢になったのを見て慌てて止めようとしたその瞬間、3匹が隠れている毛布に軽やかに飛び乗り、その上で景気よくジャンプを繰り返し始めた。ああ・・・こういうの、子供の頃 『トムとジェリー』 で見たことある・・・じゃなくて、怖がっているところにさらにとどめを刺すのはやめなさい琥珀。 元気良く降り続ける外の雪っぷりを、驚きつつ眺める。こんなに庭に雪が積もっちゃって、もし今ヒメアリクイをうっかり雪の中に落としたら余裕でどこに行ったかわからなくなっちゃうよ・・・(ヒメアリクイを雪の中に落としてはいけません。)ああ昨日のうちに豚の紅茶煮を作っておいて良かった。自分の本能と第六感に感謝を捧げる。
* 夕食 * ![]() そんなふたり。 Tue.28.1.2012
黒白猫が、なぜか突如熱心に兄の毛繕いを始めた。思わぬ事態に石のように硬直する紅葉。隅に追い込まれて逃げることも出来ず、かといって毛繕いしてくれているのに威嚇するわけにもいかず、非常につらい立場。紅葉的には、いつもところかまわず追い回されてばかりの琥珀は天敵。琥珀的には、いつも派手なリアクションで逃げてくれる紅葉はいい遊び相手。 ああ、もしこの階段がピアノだったら、綺麗なグリッサンドを奏でただろうに。階段の上で片方ずつ足を上げて熱心に毛繕い中にバランスを崩して後ろに転倒、なすすべもなく階段をなめらかに滑り落ちていく琥珀を呆然と見送る。なんなのこの生き物。
* 夕食 * ![]() あげません。 Mon.27.1.2012
夕食を作る時、エキストラヴァージンオリーブオイルの瓶をひっくり返しても寒さで凝固して1滴も出てこない、という事態が頻発する今日この頃。中身が全く出てこない瓶を逆さまにしたまま呆然と立ち尽くしていると、「まさに今!これを!いれなきゃ!いけないのに!」と焦ってはみるものの一向に開かない瓶詰と格闘している横で鍋の中身が可及的速やかに煮詰まっていく時にも似た、物悲しい心持ちになる。おかげで、夕食に使う予定がある時は、調理の数時間前にオリーブオイルの瓶を暖かい居間に持ってきて室温に戻すという一手間が加わった。春が待ち遠しいような、でも花粉症のことを考えると永遠に来なくてもいいような、複雑な気持ち。
* 夕食 * ![]() ミニアチュール。 Sun.26.1.2012
作品が形になるその前のエッセンスのその断片、みたいなものが、頭のまわりをぐるぐるしていて、もにょもにょした気分になる。早く形になってほしいような、まだこの曖昧で美しい感覚の中を漂っていたいような。石や金属という形をとって生まれ出る前のその雲のようなものには、独特の光と果てのない広がりがあって、その、空間や場所にとらわれないおおきさと自由さをいとおしく思う。きっと生まれる前のわたしたちは、皆こんな風だったのだろう。 最近またもやミニアチュールへの関心が増してきている。あぶないあぶない。ヨーロッパ中世の装飾写本やカリグラフィー、ルリユール、カルトナージュへの関心と同じように、周期的に巡ってくる人生の発作のようなものだ。一旦足を踏み込んでしまったなら、果てしなく深いところまではまっていってしまう自信がある。そして、決して戻って来られないという自信がある。いらないそんな自信・・・カルトナージュなんて始めたなら、すごい時間を掛けて最高のお気に入りのノートを作っては、もったいなくて使うことが出来ずにどんどんノートが貯まっていく自分が手に取るように見える・・・
夕食を台所からテーブルに運ぶと、猫たちがみんな、びし!としっぽを立てて待っていた。そしてもらえるものがないとわかると、スイッチを入れたかのように去っていった。
* 夕食 * ![]() お茶の時間。 Sat.25.1.2012
雨降りの日、お茶を飲みながら Francois-Joël Thiollier の弾くベルガマスク組曲を聴くのが好き。海の中をふわふわと漂う心地になる。雨音のヴェールの中にいるときの、小さくひそやかに閉じ込められた感覚が、この音とよく合っているからだろうか。
3時に、紅玉をバターと三温糖でソテーして、カルヴァドスをちょっと振って、簡単なお茶菓子にする。冬に沢山買った紅玉がまだ残っている。まだぱりっとしてくれているのはありがたいけれど、もう2月も終わり。そろそろ使い切ってあげなければ。 そうそう。先日の英会話教室は、宿題である Movie Report の発表会だったのだけど、同じクラスのおじいさんの発表が、抱腹絶倒ってこのこと・・・と思うくらい面白かった。おじいさんが観た作品は『フォレスト・ガンプ』。英語によるその説明を日本語にすると「ガンプはな、すっごい頭が悪くって、義足(ここだけ日本語)なんだ。それが突然すっごい早く走って、アメフトの選手にスカウトされて、それでベトナム戦争に行って、それから卓球の選手になって、海老レストランを作った!」。ええー?!フォレスト・ガンプってそんなシュールな話なのー?!動揺しつつ、質問してみる。「あの、主人公は足が悪かったんですよね?それがどうしてそんなに急に早く走れるようになったんですか?」そうするとおじいさんが答えて、「それがすごいんだ。ガンプはスクールバスの中で女の子に逢うんだ。そしたら悪い子供たちがガンプをいじめようとして、そしたら女の子が『RUN!』つって、そしたらガンプが超早く走るんだ!」えー、その女の子って何なの?!魔女なの?!ていうかスクールバスの中で超早く走ったら大変なことになりませんか?先生もわたしもクラスメートも笑いをこらえすぎて、みんな蝋人形のように無表情になる。実はわたしはこの映画を観たこともなければ、ストーリーも知らなかったんだけど、どう考えても、今日おじいさんが説明してくれたストーリーの方が、本物の映画よりも面白いと思う。そしてもはやわたしの中で、『フォレスト・ガンプ』はハリー・ポッターをたいそうシュールにした的な話として記憶されている。 夕食は、カメラの電池が切れて撮れなかったけど、この他に即席ザウワークラウトとソーセージと粒入りマスタード、というメニュー。ソーセージの存在を忘れてメニューを組み立ててしまったので、なにかとてもお肉成分が多い夕食になった。
* 夕食 * ![]() オレのタコ。 Fri.24.1.2012
用事を済ませて自転車で家に戻る帰途。思いがけないことに遭遇。帰宅するなり、夕食の食材が入ったバッグを玄関先に置いたまま、大慌てで電話する。が、なにやらおかしな音がするので横を向くと、扉の向こうに、「おっれっのっ獲物っ♪ すっごっいっ獲物っ♪」と見るからに最高のテンションでうきうきしながら、白い発泡スチロールのパックを咥えて引きずっていく黒白猫の姿が!待ってそれ夕食用のタコ!しかし話を途中で中断出来ず、「うわ、タコ!いえなんでもありません、ええとですね・・・」と動揺のあまり支離滅裂になりながらどうにか用件を伝え、受話器を置くなり廊下に飛んで行き、右手を振り上げて今まさにパックを破壊しようとしている琥珀をタックルして抑えこむ。あああああ。 しかし、当然ながら叱ってはみたものの、琥珀的には完全に「せっかく捕ってきたのに取り上げられた」モードになっていて、生まれて初めての獲物であるタコを返すようにたいそう真剣に抗議される。琥珀、狩りっていうのはそこに置いてあるパックを持ってくるような簡単なものじゃないんだ・・・
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