![]() ![]() ![]() ゲリラな雨。 Wed.31.8.2011
自転車で英会話教室に急ぐ途中で、いきなり豪雨。傘は持ってたけど、風もあるし、跳ね上がる水飛沫で一面真っ白に煙るような雨だったので、ロングワンピースはあっという間にざばざばになる。あああああ。えーと、ゲリラ豪雨って英語でなんていうんだっけ。いや、今大事なのはそこじゃないな。徒歩と自転車とどっちが雨に濡れないだろう。自転車の方が水がかかるけど、でも到着までにかかる時間は短いし・・・いや、大事なのはそれでもないな。こんなに水が全身からしたたるような状態で、授業受けさせてもらえるのかな・・・(←最重要ポイント) 到着後タオルを何枚かお借りして、どうにか授業を受けさせて頂いたものの、暖かいお茶を飲みつつも冷房で凍える。そしてその後足を運んだスーパーでは、さらなる冷房で芯から凍える。なるほど、濡れた衣類はこんなにも身体を冷やすのですね。遭難したときはこの点に気をつけようと心に誓いつつ、すでに雨は止んでいるもののいまだ雲行き怪しい曇天の下をふるふるしながら帰宅。ああもう、今日はあったかいオーブン料理にしよう。そうしよう。 昨日のスフレの出来が思わしくなかったので Amazon.co.jp で注文した、福田淳子さんの『スフレ・シュクレ&スフレ・サレ』 到着。わかりやすく丁寧に作り方が解説されている。やっぱり、スフレ型1つあたり卵半個じゃ少なかったんだなー それに、卵黄にあらかじめ薄力粉を混ぜておいてから温めた牛乳で伸ばす方が作りやすいし、卵白もある程度泡立ててから砂糖を少し加えると泡が安定するとか、いろいろと勉強になる。感心しながら再チャレンジ、そして無事成功!そしてスフレって、泡泡してるけど、お腹いっぱいになるんだな・・・とびっくり。反省点としては、卵白を安定させるために加える小さじ1のグラニュー糖が甘すぎる気がするので、次回は同じ効果があるはずのクリーム・ターターを加えてみよう。それにしても、こういう、1回上手くいかなくて、次に成功して、しかしまた次の課題が見えてきてというのってまさにわたしがはまるパターンだ。シュークリームを延々と作り続けた子供の頃を思い出す。 そして、びしょぬれになったワンピースを洗って干しているわたしを励ますかのように、お友達からうれしい贈り物が届く!ありがとう〜 実は名前だけは聞き及んでいて、いつか食べてみたいな・・・と思ってたのです。さっそく明日、奴にも食べさせます! Not flowers. Not actors given only minor parts. 引き続き Tanith Lee "Venus Preserved" 。最終章 The Gorgeous Palaces に突入したものの、前章の終わりからうわあああとなりっぱなし。うーそーでーしょー まさかまさかと思ってはいたものの、回避不能のままこんな展開にー!
* 夕食 * ![]() 鮭のように。 Tue.30.8.2011
足がつるのが止まらなーい。2階の仕事部屋のひんやりする床にぺたんと座って、昨日購入した発送用品の整理をしてたら、宅急便のトラックの音が。チャイムが鳴ったのでぱっと立ち上がろうとしたら両足が同時につった。あ・あ・あ・あ・あ・あ。網にかかった鮭のような動きでばたばたばたばたしている間にチャイムが何度か鳴り、しかしそのまま引き続きばたばたばたばたする以外どうにも出来ず、宅急便のトラックは再び去って行った。宅急便のお兄さんごめんなさい・・・そしてこのさみしさを一体どうしたら。 "How bright the darkness is. I'll see you later, Picaro." 更新から1日経ったし、もう大丈夫だろうと Tanith Lee "Venus Preserved" を読み始め、うわあとなる。Simoon 怖すぎ・・・
* 夕食 * ![]() 秋の気配。 Mon.29.8.2011
新月。作品たちがお嫁入り。お迎えして下さった皆様、見に来て下さった皆様、ありがとうございます! 果てしなくぼうっとしたままわたしはリフレクソロジーへ。予約の時なにか間違えたらしく、リフレクソロジー中心コースを予約したつもりが、ふくらはぎをもむもむもむもむと入念に揉みほぐしてくれた。これはこれで心地良いのでよいです。と相変わらずぼうっと、しかし幸せにサロンを出て用事を済ませて帰宅。そうしたらなぜか足がつる・・・これはいわゆるもみかえしというものでしょうか・・・ Watching sailboats and letting the day go. 帰宅後。まだ本を読むにはぼうっとしすぎていて、3191 Miles Apart のウェブサイト をぼんやり眺める。ああやっぱりこの光の捉え方、色の感覚がとても好き・・・夕暮れの空の溶け入るようなグラデーション。 夕食。素敵な海老ときのこと目が合ったので、お買い上げ。金目鯛とも目が合ったが、そのあまりの目力に負けてそっと目をそらす。
* 夕食 * ![]() 小粋な小生意気野郎。 Sun.28.8.2011
新月前日、更新準備佳境。いろんな窓の前に行っては写真を撮り、仕上がりを見ては別の光を求めて別の窓に行き、とさまよえるオランダ船のごとく家の中をうろうろする。 夕食。オルゾが手に入ったので、WILLIAMS - SONOMA "Dinner Parties" より、ORZO SALAD WITH BASIL AND HEIRLOOM TOMATOES、つまりはお米のような形のパスタ、オルゾと、バジルとトマトのサラダを作る。Heirloom tomato という単語を初めて目にしたのは、Smith & Hawken のカタログでだった。昔から受け継がれてきた原種に近いトマトたちのことだそうで、種の種類には Yellow Pear、Gardener's Delight、Cherokee Purple などという名前が並んでいる。もちろんうちの近所ではそんなトマトは手に入らないので、普通のトマトとプチトマトを混ぜて使った。もう一皿はハルミチーズと、パプリカ、きゅうりのサラダ。このチーズはハルミさんが丹精込めて作ったもので・・・というのは大嘘で、キプロスのチーズで、焼いても溶けずにおもちみたいにふっくらもちもちと仕上がる。そしてこの2つのサラダは味の相性が良くて、お皿の上で一緒に盛り付けるとおいしさがより引き立つのだった。
* 夕食 * ![]() 爽やかではない目覚め。 Sat.27.8.2011
ねえ琥珀。寝ぼけた君が全身で抱え込み、後ろ足でぽんぽん蹴ってるのは、ボールじゃなくてわたしの頭だ。レディの頭を足蹴にするとは、貴様そこへ直れ。 I see that there is more than my life and my challenges, that I shared the evening space with someone else. 3191 Miles Apart "EVENINGS" を眺める。柔らかいトーンの、静かで穏やかな光。子供の頃から夜になると活気づくタイプだったわたしにとって、この、どこかけだるいような、なにかさみしいような、それでいて心がほっとするような、1日が終わり、夜に向かう前のこの時間の光は親しいもので、ゆっくりとページを繰りながらぼんやりと心を泳がせる。 夕食。どちらも ELLE a table からのレシピ。いつものことながら、おいしそうな料理を材料だけ見て作ることを決定、足りないものを買ってきたものの、ブロッコリとうずらの卵のサラダのレシピを改めて見直して思わぬ衝撃が。ブロッコリーを茹でてからグリルパンで焼くというのはいい。だが茹でたうずらの卵を殻ごと2時間白ワインビネガーに浸すというのは?そして、オリーブオイル、にんにく、赤唐辛子を弱火にかけるというのはいいが、そこにこの卵を漬けてた白ワインビネガー 200 cc にグラニュー糖 100g を入れて、おまけに半量に煮詰める?!その超酸っぱ甘そうな液体をブロッコリーにかけて、おまけにピクルス化したうずらの卵をそこに飾るというのか・・・?で、塩気はゼロ?いや、ないな。わたし的にこの料理は有り得ない。というわけで、塩茹でしたブロッコリーにさっと白ワインビネガーをからめ、ベーコンをにんにく、赤唐辛子と共にちょっと多めのオリーブオイルで炒めてじゅっとブロッコリーにかけ、半熟のうずらの卵をその上に飾った。うん、まっとうでおいしい味がする。それにしてもこのレシピ。ロンドンの某人気デリの手になるもののはずなんだけどなー 向こうではこれがおいしいってことになってるのかなー
* 夕食 * ![]() 凝視。 Fri.26.8.2011
夏の終わりに起きる定番の現象、「自動ドアの前に立っても開かず、ATM なんかのタッチセンサーに触れても認識されない」が発動された。・・・なんなのだろうかこれは。夏バテの最終段階になると、人としてのかたちが薄くなるのかしら。 Early morning hours, before the hustle and bustle of the day commences, are the perfect time to pause and enjoy a sense of renewal and vitality. 3191 Miles Apart "A Year of Mornings" を眺める。更新の前は、なにか感覚が開いて、色や音や感触の1つ1つがあまりにも鮮やかで、時にそのことに圧倒されそうになる。そんなとき、1年間の朝の風景を写真に収めたこの本を眺める。朝の明るさに満ちた静かな時間。1度しか逢ったことがないという2人の女性、Maria と Stephanie の風景の切り取り方は、違っていながらどこか通い合うものがあって、メイン州のポートランドとオレゴン州のポートランド、それぞれ 3191 マイル離れたところに住む2人のこの静謐な交信からは、穏やかで暖かな光が放たれている。 夕食。昨夜眠い目で朦朧と作っておいた塩豚を使って、2時間かけて煮物。といってもお鍋まかせでことこと煮るだけだから、更新前にはすごくありがたい。どちらも高橋みどりさんの 『伝言レシピ』 からの料理。
* 夕食 * ![]() どく気がない。 Thu.25.8.2011
お昼のおそうめんを琥珀用の豆皿に少し取り分けてやるのをきらきらした目で眺めていた黒白猫。「かかさん、自分の分取り分けたですね。じゃあ琥珀食べますよ。」とためらいなくテーブルに乗り、わたしの分のおそうめんに猫手を突っ込もうとしているところを取り押さえる。ストーーーーップ!一体全体どうやったらそんな自由な発想になるんだ! とにかく最初の一口だ。一口だって?口の前からもう始まっているじゃないか。まずは唇の上をあの金色の泡と、その泡で増幅された爽快感が通り過ぎ、やがて苦味で濾過された幸福がゆっくりと口のなかに広がる。(「ビールの最初の一口」) あああああ、ビールの用意がない時に、うっかりフィリップ・ドレルムの 『ビールの最初の一口とその他のささやかな楽しみ』 を再読してしまったわ・・・!このひとの手にかかると、もはや吸入薬ですらおいしそうに思えてくる。日曜日の朝の祝祭の彩りを持つケーキ、甘くとろりとしたポルト酒、朝早くに買う焼きたてのクロワッサン・・・読み終わる頃にはきまってそわそわしてしまうので、わたしのような食いしん坊のひとには、寝る前に読むのはおすすめしない。フィリップ・ドレルムのエッセーはあまりにも魅力的で、2冊しか邦訳されていないのが残念でならない。なぜか英語にもあまり翻訳されていないようだ。英語版では、How I Like to Spend My Time を読んだだけだけど (今 Amazon.co.jp で見たら、 6万円以上の値段がついていてぎょっとする)、A Little List of Favourite Things の方も読んでみようかな・・・ なんだか白いものが食べたいなーと大根料理2品。
* 夕食 * ![]() スマイル! Wed.24.8.2011
スーパーにて。鮮魚コーナーの「天然さんま!」の文字を前に、小学生くらいの男の子がお母さんに「天然の反対は、人工?」と訊いていた。人工さんま・・・いやですそんなメカニカルな旬の食材。 英会話教室では小粋にミス連発。とどめに推理小説についてのヒアリングで、the remains of an unidentified male の male を meal と聞き間違えてとてつもなくアンニュイな気持ちになる。身元不明の食事の遺体ってなんなのですかわたしよ。 ぼくはひどく疲れていたけれど リチャード・ブローティガン詩集 『チャイナタウンからの葉書』 再読。優しくて、壊れ物の心を持っていた、そしてこの世界と折り合うのがとても難しかった詩人の、その孤独な死を思う。
* 夕食 * ![]() 夏戻る。 Tue.23.8.2011
暑さ復活!あぶないあぶない、すっかりだまされるところでしたよ。しかしなんなんでしょうか、わずかここ数日の間のこのジェットコースター的気温の変化。冷蔵庫に入れられたり、日向に置かれたりしたオオアリクイのようなぐったりした心境。(オオアリクイを冷蔵庫に入れてはいけません。) 7時になると、大ホールの扉が開かれ、ごちそうが現れた。中央には氷で出来た巨大な鳥打帽(ディアストーカー)[ホームズのかぶる帽子として有名]が置かれ、その横には同じくらい巨大な氷のパイプが並べてあった。そして、パイプの火皿からは蒸気が、この上なくやさしい曲線を描いて立ち上っていた。これを囲む形で整然と並べられた料理にはすべてラベルが貼ってあり、そのほとんが本書から再現されたものだった。各々のテーブルには、前菜の中央に置かれた目玉料理(センターピース)[centerpiece は「テーブルの中央に置く生花等の装飾品」のこと]の飾りに、ホームズのシルエットが浮き上がったゼラチン製のレンズをつけた、塩を利かせたパン生地製の虫眼鏡が添えてあった。 (「1976年11月6日」(C.I.A. でのシャーロッキアンフェスティバルの模様を記した項)) ジュリア・カールスン・ローゼンブラッド&フレドリック・H・ソネンシュミット 『シャーロック・ホームズとお食事を ベイカー街クックブック』 読了。言葉遊びが散りばめられたこの本、訳者の方はさぞ苦労されたことだろう。シャーロッキアンの笑ってしまうほど綿密な考察と共に、彼らが食べたであろうと想像される料理のレシピが載っている。ウェンズレーデール・チーズとか、牛のスエット(腎臓の脂身)とか、山鴫とか、ビート果汁とか、日本では簡単に手に入らないものも散見されるが、ウェルシュラビットとか簡単に作れるレシピもあるし、なによりいろいろ想像しながら読んでいるだけで楽しい。ところでわたしは、アメリカ料理大学なるものの存在をこの本で初めて知った ― その略称が C.I.A. であることも。「CIA 出身です。」なんて言ったら、いらぬドラマを招かないだろうか。そして 「CIA で試作された料理」というフレーズには、007 ばりのとてつもなく危険な響きがある・・・
* 夕食 * ![]() 扉を開けると奴が待つ。 Mon.22.8.2011
このところ、ダイエットに成功した黒白猫のエネルギーが溢れて止まらない・・・琥珀はジャンプが得意で、身の軽い仔猫の頃には1.5メートルくらいの高さの連続ジャンプを軽々とこなしていたが、再びそれくらいの高さまで飛べるようになったばかりか、仔猫の頃よりも体力が増した奴は、遊んでも遊んでも満足しない。製作途中で仕事部屋の扉を開けると、常にそこにはハチ公のように待機している琥珀がいて、すごい眼力で「・・・遊んで。」と訴えかけてくる今日この頃なのだった。 友だちの家でごちそうになるような、おかあさんの手作りといった感じのレモネードを、はちみつの匂いに誘われて寄ってくる蜜蜂を追っ払いながら飲むと、子どもの頃の夏休みの気分になれた。自家製のパイ生地に、レッドペッパーとゴーツチーズをのせて焼いたヴェジタリアン向けタルトは、さくさくと軽やかな歯触りと贅沢なトッピングの味とで絶品だった。 (「グレンジコンのオーガニック・カフェ」) 松井ゆみ子『ケルトの国のごちそうめぐり』再読。アイルランドのおいしいものについてのエッセーで、さくさくした歯触りや香ばしい香り、立ち昇る湯気のぬくもりまで感じられるような写真と共にその文章を読んでいると、ああ、あれも食べたい、これも食べたい、と夏バテ中の今ですらそわそわしてしまう。そしてこの本を読み返す度に、「うう、モルト・ヴィネガー買っちゃおうかなー」とモルト・ヴィネガー症候群に陥るのだった。 今日もひんやり。きっとこのひんやりはいっときだけのフェイクなひんやりだ!と思いつつも、気分は秋モードになりつつある。そして、料理に使ったりもしているものの、今なお冷蔵庫にたっぷり残っているおそうめんのつゆをどうしたら。いつものガラスのピッチャーでは入りきらなかったので、普段麦茶用に使っている大きなピッチャーに入れてあるが、このままでは麦茶と間違えて飲んでしまう日も近い。
* 夕食 * ![]() 夏はどこへ行った。  Sun.21.8.2011
暑くて、寒くて、ぶるぶるするものなーんだ?答えは、昨夜のわたしです。これはもしや、あの、賢者は引くことがないとちまたで言われている、例の、夏風邪・・・?いやきっと、英語の夏期講座の余波の知恵熱に違いありませんよ!と自分に言い聞かせる。 皿からあふれそうなポム・フリット(ポテトフライ)、バターでつやつやしたアリコ・ヴェール(ゆでサヤインゲン)、アツアツのマカロニグラタン・・・。ビストロのガルニテュール(付け合せ料理)ってどうしてこんなに食欲をそそるのでしょう。 (「ビストロのガルニテュール les garnitures de bistrot」) 柴田書店 『ビストロブック FOOD & STYLE』 読了。美しい写真と共に作り方が紹介されているレシピブックで、フランスや日本のビストロの紹介も載っている。牛鼻(下ゆでし、下味のついたもの)とか、仔牛の頭(掃除し、骨を除いたもの)とか、生ハムの足首赤身とか、ちょっとそこらで気軽に見つけるというわけにもいかない材料もあるが、少人数分から作れる料理、手軽な料理もあるし、なによりもおいしそうな料理の写真や、エスペレット唐辛子とか、ジュニエーヴルとか、紐状アンドゥイエットとか、知らない素材の名前を眺めているだけで楽しい。ああなんておいしそうなマグロのピッツァ。高校生の頃、古書店で Louise Steele のウィークエンド・クッキングシリーズを3冊ほど買った。全部で1,000 円もしなかったその本の中には、エンダイヴ、プンパーニッケル、ラディッキオなど見慣れない素材の名前が並んでいて、どんな味がするのだろうとわくわくした。今その素材は、近所のお店や、インターネットのお店で手に入れることが出来るようになった。もう何年か後には、今はそれがどんなものか想像もつかない紐状アンドゥイエットなんていうものも、実際に自分の目で見、味わうことが出来るようになるのだろうか。 今日も冷え冷え。味が沁みた昨日の豚汁にうどんを入れて、七味を振って、ふーふー吹きながら熱々を頂く。1週間前はあんなに夏な気候だったことが、すでに信じがたい。
* 夕食 * ![]() 信じるべきか信じざるべきかそれが問題だ。  Sat.20.8.2011
昨日に引き続き、今日もあれっというほど涼しい。とても快適だが、もしかしてこのまま秋になっちゃう・・・?「なんて暑いんだ・・・どんどん減っていくし、もうこうなったらおそうめんのつゆを多めに作ろう!」といつもの2倍の量作ったらいきなりこの気温になったわけだが、今度はこの涼しさを信じて、クッキーやマドレーヌを焼いてもいいものだろうか。それともすぐに思いきり暑くなって、「なんでこんなもの焼いたのわたし・・・」といっぱいに詰まったクッキージャーを前に呆然とすることになるのだろうか。 イングランドのサフォーク州のダックワーズ城に住んでいた妖精または取り替え子の名前。13世紀のシトー修道会の年代記作者、コギシャルのラルフが彼女のことを伝えている。この精霊は並外れて早熟であり、城主と立派な英語で会話し、召使い相手には方言を使って話し、司祭とはラテン語で知的な聖書談義をすることができたという。(「モーキン MOLEKIN, MOLKIN, MOWKIN」) あまりに面白くて、引き続き キャロル・ローズ 『世界の妖精・妖怪事典』 再読。今興味があるのは、上のモーキンという精霊と (たった一度だけ侍女の前に姿を現した彼女は、白いリンネルのチュニックを着た、とても小さい人間のこどものような姿だったという)、それから英国各地の伝承に現れる巨大な黒い妖犬 (シャーロック・ホームズの『バスカヴィル家の犬』もこの伝承を下敷きにしてるよね)。カペルスウェイト CAPELTHWAITE のように、知っている人間たちには友好的な存在もいる一方で(見ず知らずの人は夜追いかけ回された上に生垣や水路に投げ込まれるけど)、たいていはその姿を見ただけで凶事が起こる、巨大な犬として描写されている。なにかこの伝承のもとになる事件もしくは生き物が存在したのだろうか。最近、カナダ・オンタリオ州のエリオット湖畔に住むという巨大なヘラジカの写真を見て感動した。もし本当にあの写真のヘラジカが存在するなら、出逢った瞬間に、畏敬の念でわたしはきっと動けなくなる。ごく最近まで、こんな風な生き物に遭遇した人たちは間違いなく、神話や伝承としてその姿を残してきたんだろうなあ。 夜。こんなに肌寒いと、もはや暖かいものが食べたいよねーと豚汁メインで。
* 夕食 * ![]() 秋のような。 Fri.19.8.2011
朝9時頃、急に空が暗くなったかと思ったら一気に気温が下がって、雷混じりの豪雨に。雷と言っても、そこここに落ちまくりの「お助けー!」って感じではなく、ごろごろという音が、激しい雨音に添うドラムの音のようで格好いい。熱のあるぼうっとした頭に涼しい風が心地よくて、窓をちょっと開けて外を眺めて過ごす。 アフリカ系ブラジル人のカルト、バトゥーキで崇拝されているエンカンタード。人間だったドン・カルロスは深酔いし、ジュレマの木の下で前後不覚になっていたらしい。三日後に蘇ったドン・カルロスはジュレマ一族のエンカンダードになっていた。(「ドン・カルロス DOM CALOS」) 楽しみながら折々読んでいたキャロル・ローズ『世界の妖精・妖怪事典』読了。この事典、Aitvaras とか Laumė とか Lauko sargas とかさりげなくリトアニアのいにしえの神さまについても記載があるのも嬉しいが、なんといってもところどころに見つかる面白い記事がいい。事典という性質上、1つ1つの記事の説明は極端に簡略化されていて、それが余計にそのシュールさを高めている。引用した文中のエンカンダード EENCANTADO というのは、アフリカ系ブラジル人の一部の人達の信仰の中で、天使と人間の帰依者の間に位置すると考えられている存在だそうだ。ギリシャ神話における、神の血を引く人間みたいな感じの存在なのかな・・・と思って読み進めていったところ、なんでしょうかこのドン・カルロス。二日酔いならぬ三日酔いになって目が覚めたらそんなすごい存在になっていたというのだろうか。そして「前後不覚になっていたらしい」って、なんでそんなに曖昧なの。それぞれの信者がどのエンカンタードに属するかどうかは、憑依状態になった信者の様子を見ればすぐにわかるというが、ということは、ドン・カルロスの信者は、酩酊状態みたくなるの・・・?もしくは(見たことないけど)三日酔いの人みたいに・・・?あまりにも謎めきすぎて、頭に続々と浮かぶ疑問符が止まらない。 午後、次第に熱が下がって復活。せっかく涼しくなったわけだし、と揚げ物にしてしまったわけだが、この体調でこのメニュー選択ってどうなんだ。
* 夕食 * ![]() 夏の日。 Thu.18.8.2011
最近感じていたこと。 で。今日の夜ふと体温を測ったら38度直前。そこで疑問なのは、いつからこの熱はあったのか・・・遠大な疑問すぎてよくわからないわ。 水路を取り巻くこのヨーロッパ中世の城塞都市は、バロの成熟期の作品すべてにわたって見られる背景である。城も家も教会も塔もこの城塞都市の中に含まれ、そこにバロは人物たちを存在させている。(「螺旋の運行」1962 年) レメディオス・バロの画集を眺めながら早めに就寝。美術展のカタログという性質から仕方がないのかもしれないが、この画集には説明はいらなかったかもなあと思う。彼女の描く、果てしなく開けているようでいて実は不思議なほど閉じたサークルを巡る世界は、見ようとする者の前に気負いも仰々しさもなく開かれる。ことばはそこにある謎を開く鍵であるように一見見えるけれども、その実、その他にも無数にある扉を1つに限定してしまう試みでもある。これは作品のリーディングにも言えることで、考えさせられることだった。 夜はあまりお腹がすかなくて簡単に。
* 夕食 * ![]() そうめん猫。 Wed.17.8.2011
夏期講座ようやく終了・・・!長かった。この講習中最もショックだったのは、ケチャップのスペルを間違えたことでも(K じゃなくて C で始まっている時点で終わってる)、ウスターソース、っていうかウスターシャーソースが書けなかったことでもなく(Worcestershire と綴るべきところを清々しくUster と書いたわたし)、カナダ人の先生も、アメリカ人の先生も「パンにピーナツバター&ジェロ―、それにミルク!子供の頃からこれが完璧な昼食!」と語っていたことだ。や、野菜は?野菜は食べないのですか? アカンサスをはじめとする、きわめて大ぶりの植物文様をみていると、私は、たとえばアカンサスが遥か昔から地中海の植物であった ロマネスク繋がりで、饗庭孝男 『聖なる夏』 読了。昨日読んだ 『ロマネスクの園』 と同じくこの時代の修道院や教会を巡り記された本ではあるけれど、旅案内としての本というよりも、こちらの方が、筆者の思考の旅路の記録としての性質がより強い。作者は聖ベネット・デ・バーへス修道院の回廊について「まことに多くの夢想の器」であると語っているが、その言葉通り、いにしえの修道院の庭や回廊の描写が、作者の夢想や連想につれてふわふわと別の場所や時代へと漂い、いつしかまたその修道院へと戻ってくる様は、夏の午後、心を自由に泳がせながら木陰をゆっくりと散策するのに似た心地良さがあるのだった。
* 夕食 * ![]() 猫歯磨き。 Tue.16.8.2011
評判の良い新しい猫用歯磨きグッズを導入した。が、残念ながら、猫たちの激しい抵抗ぶりに変化はない・・・といっても唯一、どうにかこうにか歯磨きをさせてくれるのは小さい頃から始めた琥珀と、そして牡丹のみ。でも、「△※○§〒◇?!」みたいな解読不明な声で叫ぶのは毎度のこと・・・おまけに今日は牡丹に思い切り噛まれて指に穴が開きかけた。始める前にリラックスさせてあげることが寛容だと言うけれど・・・無理だよ!歯磨きグッズをみただけで大騒ぎですよ!こんな状況でリラックスするわけないよ!ああ猫にだって歯磨きが必要だと、もっと早くに気づいていれば・・・! 以上に紹介したル・トロネ、シルヴァカーヌとこのセナンクの三つの修道院は「プロヴァンスの三姉妹」と言われている。 高坂知英『ロマネスクの園』再読。ヨーロッパ各地のロマネスク建築について記された本だ。詩的な旅日記ではなく、1つ1つの修道院や教会について、冗漫なところのないすっきりと削ぎ落とされたそっけないほどの文章で記されているのだけれど、その合間にふと覗く描写、たとえば「門の所に小さな手書きの紙片あり。それは翌日夕方からここでモーツァルトの音楽会があることを伝えていた。村人が三々五々モーツァルトをきくために畑中の道を行く様を想像しながら村にもどった。」などというくだりに、筆者の視線や触れたものの手触り、その場の空気が感じられる思いがする。趣のあるステンドグラスやファサードの古めかしい写真も好もしい。
* 夕食 * ![]() 負けるなきゅうり。 Mon.15.8.2011
続々夏期講習。脳のエンジンの回転がストップしつつあるのが自分でもわかる・・・今日は思いついて本を持っていき、休憩時間に先生にも Tanith Lee の小説の不明箇所を訊いてみたが、scholars は自分たちの目を潰したのだと思うが、しかし前後を読んでもどうしていきなり彼らがそんなことをするのか意味のつながりがわからないという解答。どういうことなの一体・・・ 夕食の材料を買いに野菜の豊富な地産地消のお店に行ったら、見るからに新鮮なきゅうりの山の前に「世界で1番栄養のない野菜と言われています!」というPOP が晴れやかに飾られていた。なんでいきなりきゅうりディスってるのー?!なんなのこの野菜コーナー。きゅうりにだっていいところがあるじゃないか!あのパリパリした気持ちのいい歯触りとか!瑞々しさとか!と心の内できゅうりの肩を持ちつつもズッキーニを買ってしまった。すまないきゅうり。 Tanith Lee "Venus Preserved" 第2章 "The Return from Sleep" をようやく読了。読みながら何度寝かけたことか。つまらないわけではなく、寝る前に横になりながらうとうとと読んでいるのが原因。はっと気がつくと何度も同じセンテンスを読んでいることに気づいたりしてこれはもはや "The Return to Sleep" だわ・・・もしかして永遠に読み終わらないのでは・・・と思っていたが、ようやく次の章 "Actors and Spirits" に入れて一安心。
* 夕食 * ![]() 満月。 Sun.14.8.2011
私信:すまない。送った手紙の封蝋印が「怪奇!宇宙人現る!」みたいになったよ。 さて、それは置いておいて。予想通りスペシャルにぼーっとした更新明け。ただでさえ満月の日はぼうっとしているか、ハイパーかの二択だというのに。今日は夏期講座が休みで良かった・・・この有様で製作をすると、炎上!とか崩壊!とか爆発!とかいう感じの目を覆うようなえらいことをやらかしそうなので、おとなしくNeutral さんの夏限定脱出ゲームを解いて時を過ごす。スイカに風鈴に蚊取り豚。さすがNeutral さんで今度のゲームも手堅く面白く、途中唸りつつもわくわくと楽しんだ。これが期間限定なんてもったいないなあ。 いつか訪れたい、憧れのBRAN 城の写真集 "CASTELUL BRAN" 読了。読了と言ったってこの本はルーマニア語で書かれているので、英訳と対比しつつ写真のキャプションをたどたどしく読むくらいで、まえがきに至っては全然読めない。ルーマニア語は短期講座に通ったのと、白水社のエクスプレスシリーズを1冊上げたので終わっているが、いつかまた勉強したい言語の1つ。山ほどあったほかの言語関係の本の殆どは整理したが、ルーマニア語に関しては、辞書や語学書も取ってある。暖かみのあるその発音や力強さに惹かれる言葉だ。
* 夕食 * ![]() 満月前日。 Sat.13.8.2011
引き続き今日も、英会話教室の夏季特別授業。地震直後に複数回欠席しているので、これに参加しておかないといろいろとまずいのだ。今夜更新というシチュエーションなので、早起きして出来る限り準備を進めておいて出席。今日は上級クラスの参加者が多くて、話の展開およびスピードが早い。が、普通に会話に入れる。ありえないな・・・やっぱり頭のフタがどこか開いてるんだなこれ。上級クラスのメンバーを目にするのはほぼ初めてだけど、ご高齢の女性が多い。そのすごい語彙力に感心。単に単語力があるというだけじゃなくて、ネイティブの使う言い回しから、かなりダーディーなフレーズまでカバーしている。海外在住だった方もいらっしゃったけど、その時に学んだことだけでやっているわけではなく、日本にいる今も引き続き勉強されてるんだろうな。 夜、更新も無事終わり、熟睡・・・のはずが、頭のスイッチが切り替わらず、ならばとこれを読むと必ず即寝てしまう英語で書かれたリトアニア語の文法書を読み始めたが(日本語で書かれた文法書は存在しない)・・・普通に1章読み終えちゃったよ。なんなのこのハイパー状態。結局明け方まで寝ているような起きているような不思議な状態で過ごす。でもその途中でふと浮かんできた作品のスケッチをしたはずが、朝見てみると製作ノートにはなにも描かれていない。寝ぼけてとんでもないものにスケッチしてないといいな・・・
* 夕食 * ![]() 電波ヒアリング。 Fri.12.8.2011
更新直前でそろそろいろいろ大回転になりつつある今日から、英会話教室の夏季特別授業が開講ですよ・・・!脳内身体共にオーバーヒート気味でなんか小粋に瞳孔が開いちゃったまま受講。そんな今日に限って異様に聞き取れるが、どう考えてもこれ、聞きとり能力が向上しているわけではなく、なんかもう、英語以外のなにか、テレパシーとかなんとか星からの電波とかで相手の言っていることを理解しているとしか思えない。もしかしたら耳を塞いだままでもコミュニケーション出来るかも・・・なんてぼうっと考える。そして今日のディスカッションのテーマは、「アメリカ、カナダ、日本における体罰の違い」という真面目なものだったんだけど、ノートには whipping、spanking、switch なんて単語が並んで複雑な心境。 今思えば何てことのない実験だった。だってその「退屈」は一週間で終わるとわかっていたんだから。 フジモト マサル 『夢みごこち』 再読。かわいらしい、けれどどこかリアルな動物たちが繰り広げる、日常に空いた非日常という名の底なしの落とし穴についての物語。ディストピア・コミックってぴったりの惹句だなあ。どれが夢で、どれが現実なのか。誰が夢の中の存在で、誰がその夢を見ているのか。繰り返し現れる二組の名前が、読者をも現実と夢のあわいへと引き込んでいく。これを読んだのはちょうどあの大地震の直後で、あの頃しょっちゅう流れていた地震速報の音、余震対策で居間で寝ていたこと、繰り返し訪れる大きな揺れの感覚とかがこの物語の空気とあまりにも繋がっていて、いろんな意味で忘れられない一冊になった。あらいぐまの父子の平和な朝の会話から始まる「田舎暮らし」という話は、読み進めるうちに次第に広がる違和感と拡大していくそこはかとない不安がラストにつながる感覚が秀逸。たいそうダンディなバクが主人公の「亡者の戯れ」も好きだ。あの状況で最後のあのセリフを言えちゃうのがすごい。わたしだったら最後のセリフは「あーあーあーあーもー・・・」とかに違いない。
* 夕食 * ![]() 満月近く。 Thu.11.8.2011
姉のうららに襲いかかってめちゃめちゃ叱られた(おまけに姉からも猫パンチをくらってふっとんだ)琥珀が、わたしのサボの先端にせっせとおもちゃのねずみを詰めている現場を捕獲。貴様そこへ直れ! 歩いていて幾重にも条の入った白い石粒を拾った。そこに、わたしの生の方向性がすべて条になって現れていて、 川田 絢音『空中楼閣 夢のノート』 再読。夢を記した作品の中では、この本が1番好きだ。夢の中からすくいとりながらも現実の言葉に変換できないもどかしいゼリーのような感触を、このひとは、詩人ならではのことばの選び方でそっと掴みとって文字へと写し取ってくれる。それは胸のすくような爽快な感覚でもあり、同時に、夢の潮が境界を越えて足先をひたひたと洗うような、ほのかな不安と恍惚を呼び起こす感覚でもあるのだった。
* 夕食 * ![]() 虎 vs. 琥珀。 Wed.10.8.2011
PC で虎の動画を見ていたら、ヘッドフォンから漏れ聴こえる虎の声に猫たちが皆反応することに気づく。おお、とヘッドフォンを外して差し出したら、2階で寝ていた紅葉を除く全員が駆け寄ってきたが、虎の吠声がするたびに、牡丹とうららは耳を伏せ、たんぽぽは身を低くし、弱気なのどかは逃走寸前になる。皆、天に授かった危険を感じる本能を持っているのだなあと感心していたら、駆け込んできた琥珀がばしばしと遠慮なくヘッドフォンを殴り始めた。神さま、ここに本能の恩恵にあずかっていない生き物がいます・・・ David James "draw your own CELTIC DESIGNS" 読了。その名の通り、ケルティックな文様を書くための本なのだけど、なるほどこれなら描ける!というものもあれば、STAGE 1ではごくごくシンプルな幾何学が描かれているのでこれならいけると思うものの、2ではいきなりそれが超複雑な絵柄になり、3でさらにややこしい絵柄となっているという、「こんなもの描けるか!ていうかSTAGE 2でこんなものがいきなり描ける人は、この本いらないと思う・・・」というものもあって複雑な心境。一方で、素晴らしいケルトの黄金細工や美しい螺旋模様の石のカラー写真が収録されていたのは思いがけない喜びだった。
* 夕食 * ![]() 夏日。 Tue.9.8.2011
日中、あつーい・・・とぼうっとしながらシャワーでお風呂を洗っていたら、最後の最後でびしょ濡れになって呆然とこちらを見上げる琥珀の存在に気がつく。す、すまない!決してわざとじゃないんだ!君がそこにいることが意識の中に入って来なかったんだ! そんなことがあった一方で、猫たちもかなりぼけぼけになっており、猫用布団がしつらえてある茶箪笥の上にジャンプしようとした巨体ののどかことむーちゃんが目測を誤って落ちかけ、猫布団にがしっとしがみついたあげく、その上で熟睡していた姉のうららもろとも、自重で布団と共に墜落する。目をまんまるにしてその光景を凝視した後、いっせいに毛繕いを始める2匹の両親、牡丹&たんぽぽと義理の弟、紅葉。そう、猫はあまりにも気まずい光景に遭遇したときも毛繕いをして心を落ち着かせるのよね・・・ 終わらないノートまとめはおいておいて、寝る前 "Venus Preseved" の読書を再開するが、眠気の神さまがやってきて5ページで陥落。力の抜けた手から落下した本が顔に激突して目が覚める。痛い。こ、今度からはうつ伏せで読もう・・・
* 夕食 * ![]() 夏猫。 Mon.8.8.2011
ダイエットには成功したものの、そのおかげで一層活発になり、ありあまる体力を持て余している琥珀。放っておくと年上猫たちを追っかけ回してしまうので、日に4回は遊んでやる必要が出てきた。というわけで今日2回目の運動時間。琥珀の前にさっと猫じゃらしを出してやると、興奮のあまり瞳孔を真っ黒にして、視線を猫じゃらしに固定したままものすごい勢いで爪とぎで爪を研ぎ始める・・・って琥珀!それ爪とぎじゃなくてわたしの足の甲!ちゃんと前見て研いでー!!! お気に入りのリトアニア語のお料理ブログ、Neringos blogas で ryžių vyno actas の文字が出てきたので、これはもしや?とリトアニアの友達に訊くと、やっぱり米酢だった。身近にある日本の食材が海外のお料理ブログに登場するのは、なんだかとても新鮮な気持ち。 WILLIAMS-SONOMA "Dinner Party" 読了。たとえば真っ白なテーブルクロスの上に、草色のガラスや黄緑色のマドラー、グリーンと黄緑の濃淡が美しい葉っぱでアクセントをつけた、木陰のディナー。シルバーやクリスタルの燭台に、濃いブラウン、キャラメル色、淡いベージュなどの背の高いキャンドルを並べ、アクセントに、シルバーのナプキンリングで留めた濃いチョコレート色のナプキンをあしらったエレガントなディナー。お料理の魅力的な佇まいもさることながら、テーブルの上のリネンやカトラリー、食器や花、それぞれの色や質感、素材の組み合わせが目に心地いい。レシピの中で今1番作ってみたいのは、"Orzo salad with basil and heirloom tomatoes" とそれを添えた "Grilled halibut with herb butter"。オルゾ、ここらへんで手に入るかなあ。
* 夕食 * ![]() アイスティー。 Sun.7.8.2011
あ、暑い・・・とろける・・・あまりの暑さに仕事部屋の冷房はかけてみるものの、冷房に弱いのでつけたり、消したり、かえってエコじゃない事態に忸怩たる思い。 午後3時、水出しして冷やしておいた紅茶を賞味。初めてヌワラエリアをアイスティーにした。1Lの水に12g の茶葉で5時間水出したのだけど、あと数時間は水出ししていいなあという感触ながら、香りも良くおいしい!うわ、アイスのヌワラエリアもこんなにおいしいのか! ここ数日、夕食後の2〜3時間をこれまでに読んだ部分の Tanith Lee "Venus Preserved" のノート作りに使っているが、お、終わらない・・・!でもこのまま先を読み進めてしまうと単語を覚えるチャンスを逃してしまうこと必須なので、よろけつつもちょっとがんばってる今日この頃。作中で言うところのGreek-Latin の読みがよくわからない上に( Phaetho ってなんて読むんだろう。パエト?)、そもそもわたしの文字を書くペースがあまりにもゆっくり過ぎ。 この夏は、早々と買っておいたクールジェル敷きパッドを使っている。なかなかの効果で、かなり暑い夜でも弱い冷房で寝られる優れもの・・・なんだけど、ベットメイキングが終わってからお風呂に入って戻ってくると、往々にして勝手に乱入した猫たちがその上に密集して寝ているというショッキングな事態。猫たちの高い体温の熱をしっかり吸収してぬくもってくれている優秀なジェル敷きパッド・・・ていうかこの状況で寝られるか!
* 夕食 * ![]() ペリエペンギン。 Sat.6.8.2011
リトアニア語で書いた8月1日の日記。 Šiemet čia labai vėsu, jaučiasi taip lyg jau ruduo atėjo. 今年このあたりはとても涼しくて、もう秋が来たみたいだ。 という文章を読み返して、思わず 「嘘だッ」 と叫ぶ猛暑の朝。なんだったのだろうあの涼しさは。まぼろしかしら。ゆめかしら。 日中、ルースの整理・・・をしていたはずが、ふと気がつくと自分が、志半ばでスライムに倒されたLv.1 勇者、もしくは探偵もの漫画に出てくる「ダイイングメッセージを書き残した被害者」みたいな右腕を伸ばしたポーズで、ルースボックスを握ったまま床に倒れてうつ伏せで寝ているのに気づき、驚愕する。うわーもう午後3時過ぎですよ・・・!おまけに全猫が周りで添い寝してますよ・・・!これは時間泥棒にワイルドに時間を盗まれたということに違いない、と自分に言い聞かせる。 テーブルの上に忘れられたコップ、廃墟すら消えそうで、砂漠の砂がすべてを侵略していく。 レメディオス・バロ『夢魔のレシピ』再読。「眠れぬ夜のための断片集」という副題が冠せられているが、眠れない夜にこれを読んだらより眠れなくなること間違いなしな気がする、シュールないたずら心に満ちた文章や見た夢についての記述、不条理な物語、描いた作品とその説明などが納められている1冊。レメディオス・バロの絵は、画集やウェブで見ただけで、残念ながら実際の絵は1度も見たことがない。日本では1999年に展覧会が1度あったきりだった気がする。また日本で展覧会が開かれるといいなあ。
* 夕食 * ![]() おめかしペンギン。 Fri.5.8.2011
お客さまから、ドライのマロウのプレゼントと共に、それを使って氷を作る方法を教えて頂いた。ありがとうございます!まずは、普通にハーブティーを作る時の2、3倍の量のマロウをお水に入れてしばらく置くと、綺麗なブルーのお茶になる。それを凍らせるのだ。凍らせたマロウのお茶は、パープルとブルーにきれいにグラデーションを描いていて、真っ白なかき氷によく映える。
このあと、かき氷はほんのりした甘みのジュレで、ペンギンたちはペリエに浮かして頂いた。そのときペリエに起きた変化もとても綺麗だったのだけど、それはまた明日。そして夢中になってペンギン in ペリエを眺めつつかき氷を頂く間、クリスティナのことは思い出しもせず。もしかしてこれは、記憶の上書き成功? 話変わって。お気に入りのねずみのおもちゃを投げると咥えて戻ってくる、という「取って来い」が自然に出来ていた琥珀。それが、ここのところの暑さで調子がおかしい。ぽーんとねずみのおもちゃを投げるとダッシュで追いかけていくところまではいいのだが、おもちゃに飛びついた後、そのまま咥えずに普通に戻ってきてしまう。澄んだ目で「投げて?」って足元で見上げられても。ねずみが無限に出てくるわけないでしょうが。わたしはねずみピッチングマシーンじゃありませんよ・・・
* 夕食 * ![]() キプロス民族音楽愛聴家(嘘)。 Thu.4.8.2011
日中何も食べないで夕食に突入というパターンが多すぎるよ!というわけで、鋭意桃を食べてみる今日。太陽が照っている間は、水茄子か桃かメロンがそばにいてくれればいい・・・ ところで。 神さま、懺悔します。わたしは嘘をつきました。 顛末を書くと。今日は作品の発送を終えてから学校の日。でもその前に時間があったので、ここしばらく行きたかったリフレクソロジーへ。やっぱりリフレクソロジーがわたしには1番合っている気がする。気持良くほんわりすっきりしたところで、施術後のお茶を出して頂いた。お茶を飲みながらリフレクソロジストの綺麗なお姉さんとお話しているうちに、なぜか話題は音楽のことに。「最近はどんな音楽を聴かれるんですか?」とにっこりと訊かれて「キ・・・」と素直に答えかけたものの、はっと我に返って「・・・プロス共和国の民族音楽です。」と急カーブを切る。おねえさん=見るからに頭に疑問符がいっぱいながら、笑顔をキープ。わたし=極端に挙動不審。ああ真っ赤な嘘をついてしまった。キプロス共和国の民族音楽なんて聴いたことないよ!でも、ヒーリングミュージックが流れる瀟洒なサロンで、『キッチンでカッパがタニシ茹でてる』って言う勇気がなかったんだ。ごめんカッパ・・・ごめんキプロスの人たち・・・ 学校では、苦手な技?じゃないな技法?があってこのところずっと練習していたのだが、今日ようやく先生に褒められてハッピー。でも実のところ、あまりにもずっと練習しすぎて、もはや上手くなったのかどうか自分ではわからない。お菓子作りとかでも試作し過ぎるとそうなるよね・・・ 行き帰りの電車の中で、Tanith Lee "Venus Preserved" を強引に2章の後半あたりまで読む。辞書はほとんど使わず、我ながらあまりにも溢れすぎている想像力を駆使して読む。たぶん・・・大筋は・・・合っている・・・はず・・・。これは The Secret Books of Venus シリーズの最終巻なんだけど、古代から未来へと時間軸がぽんぽん飛ぶので、面食らう。そして、主人公の母に当たる、ある種の獣のような flat and yellow の瞳を持つ魔女が怖すぎ。そして魅力的すぎ。そして素敵に怖い発言ばっかり連発するところがうちの母に似すぎ。お母さん、こんな登場人物であなたのことを思い出したくはありませんでしたよ。 Tanith Lee と言えば、Paradys シリーズ3巻の方で意味が分からず苦戦している段落があるのだが、日本人、アメリカ人、カナダ人に各々質問した結果、それぞれの解答が異なり、加えて皆に「この段落だけじゃわからない。前後の文章も見せて。」と言われてそうかと見せたところ、「ごめん、やっぱ見ても意味わかんない。」と言われる、という結果を得た。ええ、理解してます、そこは全然物語の本筋に関係ないところだって。でもこうなると気になって気になって、作者本人にファンレターならぬ質問状を送ってしまいそうな自分がこわい。
* 夕食 * ![]() クリスティナその後。 Wed.3.8.2011
3時に用意したバニラアイスクリームにスミレの砂糖漬けをのせたのは、ほんの気まぐれ・・・のつもりだった。けれど、さくっとした歯ごたえと共にスミレの香りが立ち昇るのを感じた瞬間、「うわークリスティナ!」とのけぞる。彼女のまとうスミレの匂いは、物語の中の重要なファクターのひとつになっているのだ。どうやら無意識のうちに、スミレという単語が意識の中に残っていたらしい。というか、ああ、もしかして、スミレ=クリスティナという刷り込みがされちゃったわけ?今後の全人生において、スミレの砂糖漬けを口にしても、スミレのジュレを頂いても、マドモアゼル・クリスティナを思い出すわけ?それはちょっと、かなり、嬉しくない気分・・・しばらくぼうぜんとしてから、とりあえず、今日偶然知った名曲 『キッチンでカッパがタニシ茹でてる』 を口ずさみながら中華麺を茹でて気を取り直す。
* 夕食 * ![]() ふくろうノート。 Tue.2.8.2011
子供の頃から、分厚いノートが好きだ。それも革装丁だとか、真鍮の古めかしくも重々しい鍵付きだとか、古式ゆかしいマーブル紙での装丁とか、四隅にメノラーとか、そういうなにか魔法書のようなノートが好きだった。 その好みは今でもまったく変わらず、ゲームの Myst シリーズなんて、そこら中に手の込んだ装丁の本やノートがあるという1点だけでもう心ときめく。そして大人になったわたしは、海を越えた国のノートを買うという楽しみを覚えた。中でもイタリア製のノートは、まさに好みの、魔法書っぽい手の込んだデザインが多くて嬉しくてならない。 このフクロウノートは、個人的な夏休みの課題&愉しみとして読んでいる Tanith Lee のThe Secret Books of Paradys V用のノートにした。LE LIVRE BLANC ET NOIR 白と黒の書という副題からして、もうこのノートしかないという感じがする。 あなたのお祈りなど怖くないわ・・・・・・。あなたは1人の生者にすぎません。 ミルチャ・エリアーデの初期の作品 『令嬢クリスティナ』 読了。若くして惨殺されたといわれる令嬢の肖像画。屋敷内に漂う奇妙な気配。一見感じが良いように見える上品な人々の背後に見え隠れするものは、狂気なのか、それともこの場所で本当に何かが起こっているのか?やがて、死せる乙女マドモアゼル・クリスティナを中心に、それぞれの登場人物の感情や思惑が渦の一端を担って、最初に感じていたわずかな違和感は大きな怪異へと変貌していく・・・穏やかな日常の中に宿るほのかな不安感が漂う序盤から、マドモアゼル・クリスティナが属する「あちらの世界」の存在感が増大し、日常を呑みこんでいく過程は圧巻。この本には、祭りの後の直会のような、あちらの世界からこちらの世界への再移行を成し遂げるすっきりとした爽快なラストはない。そのことが、いつまでもこの小説の余韻を漂わせるかのようだった。
* 夕食 * ![]() 天上の蒼。 Mon.1.8.2011
人生は思いがけない驚きに満ちている。ひんやりして気持ちいい木の床に座って髪を結っていたら、いきなり飛びついてきた琥珀によってかんざしが後頭部に刺さる、そんな朝。もしもし琥珀さーん・・・? 何かが好きだったら、その瞬間にその「好き」を満喫するのは大切なことだ。それはその時にしか出来ないことだから。ある瞬間に好きだった何かが永遠に同じように好きだという保証はない。いつの日か遠く離れた時間にそれに触れても、その身を切られるような鮮烈な「好き」は決して戻らず、そこにあるのは淡く薄まった記憶の残像や残り香や懐かしさだから。というわけで、ロレンツ・オーケンの本のクラゲやら一角やら鯨やら、海洋生物ぎっしりな博物画を眺めてうっとりと午後を過ごす。この鯨、絶対笑ってる・・・ 『アガサ・クリスティの晩餐会』再読。アガサ・クリスティの小説に出てきた料理を(推測を混じえて)「再現」した本。美しく、それでいて「死の女公爵」の名を冠せられたクリスティにふさわしく、ブラックなテイストをまじえて撮影された料理の写真が素晴らしい。クラストがきつね色にぱりっと焼き上がったアップル・トルテの後ろに写る、POISON とラベルが貼られた古めかしい瓶。クリスタルのジャム入れの中で宝石のように輝く色鮮やかなオレンジ・マーマレードを警備するミニチュアのイギリス警官。 " A Murder is Announced " を読んだ人ならきっと皆にやっとしてしまうであろう、「甘美なる死」と名付けられたチョコレートケーキの上に散らばる、きらきら輝くガラスの破片。
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