August   2011

   




      ゲリラな雨。

     Wed.31.8.2011 





   Susie Cooper "Wedding ring"。 大学生の時、1番最初に買った Susie Cooper。


   自転車で英会話教室に急ぐ途中で、いきなり豪雨。傘は持ってたけど、風もあるし、跳ね上がる水飛沫で一面真っ白に煙るような雨だったので、ロングワンピースはあっという間にざばざばになる。あああああ。えーと、ゲリラ豪雨って英語でなんていうんだっけ。いや、今大事なのはそこじゃないな。徒歩と自転車とどっちが雨に濡れないだろう。自転車の方が水がかかるけど、でも到着までにかかる時間は短いし・・・いや、大事なのはそれでもないな。こんなに水が全身からしたたるような状態で、授業受けさせてもらえるのかな・・・(←最重要ポイント)

   到着後タオルを何枚かお借りして、どうにか授業を受けさせて頂いたものの、暖かいお茶を飲みつつも冷房で凍える。そしてその後足を運んだスーパーでは、さらなる冷房で芯から凍える。なるほど、濡れた衣類はこんなにも身体を冷やすのですね。遭難したときはこの点に気をつけようと心に誓いつつ、すでに雨は止んでいるもののいまだ雲行き怪しい曇天の下をふるふるしながら帰宅。ああもう、今日はあったかいオーブン料理にしよう。そうしよう。

   昨日のスフレの出来が思わしくなかったので Amazon.co.jp で注文した、福田淳子さんの『スフレ・シュクレ&スフレ・サレ』 到着。わかりやすく丁寧に作り方が解説されている。やっぱり、スフレ型1つあたり卵半個じゃ少なかったんだなー それに、卵黄にあらかじめ薄力粉を混ぜておいてから温めた牛乳で伸ばす方が作りやすいし、卵白もある程度泡立ててから砂糖を少し加えると泡が安定するとか、いろいろと勉強になる。感心しながら再チャレンジ、そして無事成功!そしてスフレって、泡泡してるけど、お腹いっぱいになるんだな・・・とびっくり。反省点としては、卵白を安定させるために加える小さじ1のグラニュー糖が甘すぎる気がするので、次回は同じ効果があるはずのクリーム・ターターを加えてみよう。それにしても、こういう、1回上手くいかなくて、次に成功して、しかしまた次の課題が見えてきてというのってまさにわたしがはまるパターンだ。シュークリームを延々と作り続けた子供の頃を思い出す。

   そして、びしょぬれになったワンピースを洗って干しているわたしを励ますかのように、お友達からうれしい贈り物が届く!ありがとう〜 実は名前だけは聞き及んでいて、いつか食べてみたいな・・・と思ってたのです。さっそく明日、奴にも食べさせます!

   Not flowers. Not actors given only minor parts.
   They, each one, as he was, hero of their own life.
   花なんかじゃない。つまらない役を与えられた役者でもない。
   彼ら1人1人が皆、彼と同じように、それぞれの人生の主役なのだ。   (io 試訳)

   引き続き Tanith Lee "Venus Preserved" 。最終章 The Gorgeous Palaces に突入したものの、前章の終わりからうわあああとなりっぱなし。うーそーでーしょー まさかまさかと思ってはいたものの、回避不能のままこんな展開にー!




   あわわわわ。ぐんぐんしぼんでいくスフレを大急ぎで撮影。
   この段階でもう 2cm ぐらい沈んじゃってる。でも成功!ふわんふわんの仕上がり。





   枝元なほみさんの 菜の花と長芋のグラタン を参考に、白いものが食べたかったので、
   白舞茸と茹でたカリフラワーで作成。ホワイトソースの代わりに長芋を使っているので軽い仕上がり。
   しかし超お腹いっぱいに。





   パンも切ってみたものの、満腹過ぎて食べられず。


   *   夕食   *
   無農薬のいいレモンがあったので、レモン入りペリエで。
   ・ハムとチェダーチーズのスフレ。
   ・長芋とカリフラワーと白舞茸のグラタン。







      鮭のように。

     Tue.30.8.2011 





   スウェーデンから荷物が届いた!海外からの荷物はわくわくするなあ。




   中身は EVA 。ケーキ皿と表示されてたけど、サラダやパン皿にもぴったりの大きさ。
   小さめサイズもあったらなーと思ってたので嬉しい。状態の良いヴィンテージ。



   足がつるのが止まらなーい。2階の仕事部屋のひんやりする床にぺたんと座って、昨日購入した発送用品の整理をしてたら、宅急便のトラックの音が。チャイムが鳴ったのでぱっと立ち上がろうとしたら両足が同時につった。あ・あ・あ・あ・あ・あ。網にかかった鮭のような動きでばたばたばたばたしている間にチャイムが何度か鳴り、しかしそのまま引き続きばたばたばたばたする以外どうにも出来ず、宅急便のトラックは再び去って行った。宅急便のお兄さんごめんなさい・・・そしてこのさみしさを一体どうしたら。

   "How bright the darkness is. I'll see you later, Picaro."
   "闇ってなんて明るいのかしら。またね、ピカロ。"   (io 試訳)

   更新から1日経ったし、もう大丈夫だろうと Tanith Lee "Venus Preserved" を読み始め、うわあとなる。Simoon 怖すぎ・・・




   さっそくこの器でスフレを作ってみた・・・んだけど。どうにもこうにも生地が少なすぎた。
   レシピ、インターネットで検索したんだけど、あの材料はもっと小さいココット型仕様だったんだなー





   いつもの蛸とトマト、きゅうり、カリフラワーのサラダに今日はオクラも入れてみた。




   なんだかお皿がライトにすごく反射してしまった。
   舌平目のムニエルにはわたしの中で定番の粉ふき芋を添えねば!と作ろうとしたら、じゃがいも自体なかったという。





   いつも名前を忘れちゃうんだけど、アンデルセンの、この胡麻が入ったパンが好き。




   飲み物はシードルと、イタリアの辛口の発泡性赤ワインで。ワインは、悪くはないけど、もうちょっと丸みのある味の方が好みかなー


   *   夕食   *
   ・ベーコンとチーズのスフレ。
   ・蛸とトマト、きゅうり、カリフラワー、オクラのサラダ。
   ・舌平目のムニエル。レモンがなかったので、かぼすを添えて。
   ・パン2種。






      秋の気配。

     Mon.29.8.2011 





   もうどこか秋の光。ほっこりした色合いの陶器とクロスに惹かれた。


   新月。作品たちがお嫁入り。お迎えして下さった皆様、見に来て下さった皆様、ありがとうございます!

   果てしなくぼうっとしたままわたしはリフレクソロジーへ。予約の時なにか間違えたらしく、リフレクソロジー中心コースを予約したつもりが、ふくらはぎをもむもむもむもむと入念に揉みほぐしてくれた。これはこれで心地良いのでよいです。と相変わらずぼうっと、しかし幸せにサロンを出て用事を済ませて帰宅。そうしたらなぜか足がつる・・・これはいわゆるもみかえしというものでしょうか・・・

   Watching sailboats and letting the day go.
   ヨットを眺めながら日が暮れる。(io 試訳)

   帰宅後。まだ本を読むにはぼうっとしすぎていて、3191 Miles Apart のウェブサイト をぼんやり眺める。ああやっぱりこの光の捉え方、色の感覚がとても好き・・・夕暮れの空の溶け入るようなグラデーション。

   夕食。素敵な海老ときのこと目が合ったので、お買い上げ。金目鯛とも目が合ったが、そのあまりの目力に負けてそっと目をそらす。




   半分強はお刺身。猫たちの熱視線が集中・・・




   残りは塩焼き。かぼすを添えて。




   なにかピンぼけてるけど、頭はお味噌汁に。いい出汁が出てる。




   あとはしめじの炊き込みごはんと




   この芙蓉の器には




   きゅうりとおくらの梅酢和えを。


   *   夕食   *
   ・海老のお刺身。
   ・焼き海老+かぼす。
   ・海老の頭のお味噌汁。
   ・しめじの炊き込みごはん。
   ・きゅうりとおくらの梅酢和え。






      小粋な小生意気野郎。

     Sun.28.8.2011 



   猫立ち入り禁止の出窓で 「は?それがなにか?」 とくつろぐ黒白猫。
   しかも写真を見て初めて気づいたが、貴様、蜜蝋キャンドルにすりすりして毛だらけにしたなー!!!


   新月前日、更新準備佳境。いろんな窓の前に行っては写真を撮り、仕上がりを見ては別の光を求めて別の窓に行き、とさまよえるオランダ船のごとく家の中をうろうろする。

   夕食。オルゾが手に入ったので、WILLIAMS - SONOMA "Dinner Parties" より、ORZO SALAD WITH BASIL AND HEIRLOOM TOMATOES、つまりはお米のような形のパスタ、オルゾと、バジルとトマトのサラダを作る。Heirloom tomato という単語を初めて目にしたのは、Smith & Hawken のカタログでだった。昔から受け継がれてきた原種に近いトマトたちのことだそうで、種の種類には Yellow Pear、Gardener's Delight、Cherokee Purple などという名前が並んでいる。もちろんうちの近所ではそんなトマトは手に入らないので、普通のトマトとプチトマトを混ぜて使った。もう一皿はハルミチーズと、パプリカ、きゅうりのサラダ。このチーズはハルミさんが丹精込めて作ったもので・・・というのは大嘘で、キプロスのチーズで、焼いても溶けずにおもちみたいにふっくらもちもちと仕上がる。そしてこの2つのサラダは味の相性が良くて、お皿の上で一緒に盛り付けるとおいしさがより引き立つのだった。




   チーズ、もちもちでおいしい。塩気が利いているので、ドレッシングは塩分控えめで正解。
   お皿はフランスのアンティーク。





   オルゾのおいしさにびっくり!こっちももっちもち。
   そして、こんなに小さいのに茹でるのに17分もかかったことにもびっくり。





   ブロッコリースプラウトとプロシュート。
   でもメインディッシュはハルミチーズだったな。





   飲み物はブルタ−ニュ産シ−ドルと




   ルーマニアの白。PRAHOVA VALLEY のシャルドネ。
   このワイン、オーク樽の香りがフルーティな香りと合っていて、とても好き。



   *   夕食   *
   ・ハルミチーズ、パプリカ、きゅうりのサラダ。ドレッシングはフレンチドレッシング。
   ・オルゾとバジルとトマトのサラダ。味付けは、ヴァージンオリーブオイル、黒胡椒、フルール・ド・セル。
   ・ブロッコリースプラウト&プロシュート。
   ・バゲット。






      爽やかではない目覚め。

     Sat.27.8.2011 



   夏の光に、少しずつ秋の光が混じり始めている。

   ねえ琥珀。寝ぼけた君が全身で抱え込み、後ろ足でぽんぽん蹴ってるのは、ボールじゃなくてわたしの頭だ。レディの頭を足蹴にするとは、貴様そこへ直れ。

   I see that there is more than my life and my challenges, that I shared the evening space with someone else.
   そこには、わたしの生活や日々の仕事の記録という以上のものがある。誰かとその夕暮れの空間を分かち合うということ。(io 試訳)

   3191 Miles Apart "EVENINGS" を眺める。柔らかいトーンの、静かで穏やかな光。子供の頃から夜になると活気づくタイプだったわたしにとって、この、どこかけだるいような、なにかさみしいような、それでいて心がほっとするような、1日が終わり、夜に向かう前のこの時間の光は親しいもので、ゆっくりとページを繰りながらぼんやりと心を泳がせる。

   夕食。どちらも ELLE a table からのレシピ。いつものことながら、おいしそうな料理を材料だけ見て作ることを決定、足りないものを買ってきたものの、ブロッコリとうずらの卵のサラダのレシピを改めて見直して思わぬ衝撃が。ブロッコリーを茹でてからグリルパンで焼くというのはいい。だが茹でたうずらの卵を殻ごと2時間白ワインビネガーに浸すというのは?そして、オリーブオイル、にんにく、赤唐辛子を弱火にかけるというのはいいが、そこにこの卵を漬けてた白ワインビネガー 200 cc にグラニュー糖 100g を入れて、おまけに半量に煮詰める?!その超酸っぱ甘そうな液体をブロッコリーにかけて、おまけにピクルス化したうずらの卵をそこに飾るというのか・・・?で、塩気はゼロ?いや、ないな。わたし的にこの料理は有り得ない。というわけで、塩茹でしたブロッコリーにさっと白ワインビネガーをからめ、ベーコンをにんにく、赤唐辛子と共にちょっと多めのオリーブオイルで炒めてじゅっとブロッコリーにかけ、半熟のうずらの卵をその上に飾った。うん、まっとうでおいしい味がする。それにしてもこのレシピ。ロンドンの某人気デリの手になるもののはずなんだけどなー 向こうではこれがおいしいってことになってるのかなー




   しかしながらレシピからは、うずらの卵を半熟に仕上げるには、熱湯に入れて1分55秒茹で、急冷する
   というありがたい知識を得る。





   オリジナルは紋甲いかだったけど、なかったので沖縄の赤烏賊で。
   仕上げに、あさつきに熱した油をじゅっとかける。たちまち良い香りが立ち昇る。
   たれは、チキンスープ 50cc に、醤油、ナンプラー、そして砂糖少々を加えたもの。



   *   夕食   *
   ・ブロッコリとうずらの卵のサラダ。
   ・イカの湯引き、さっぱりスープがけ。
   ・バゲット。






      凝視。

     Fri.26.8.2011 



   庭を通る見知らぬ猫を、総出で全力を挙げて観察中。
   6匹で凝視って、なんてプレッシャー。見知らぬ猫よ、ごめん・・・


   夏の終わりに起きる定番の現象、「自動ドアの前に立っても開かず、ATM なんかのタッチセンサーに触れても認識されない」が発動された。・・・なんなのだろうかこれは。夏バテの最終段階になると、人としてのかたちが薄くなるのかしら。

   Early morning hours, before the hustle and bustle of the day commences, are the perfect time to pause and enjoy a sense of renewal and vitality.
   1日の最初の喧騒がいまだ始まらない早朝は、一息ついて新しい始まりと活力を感じるのにぴったりの時間だ。(io 試訳)

   3191 Miles Apart "A Year of Mornings" を眺める。更新の前は、なにか感覚が開いて、色や音や感触の1つ1つがあまりにも鮮やかで、時にそのことに圧倒されそうになる。そんなとき、1年間の朝の風景を写真に収めたこの本を眺める。朝の明るさに満ちた静かな時間。1度しか逢ったことがないという2人の女性、Maria と Stephanie の風景の切り取り方は、違っていながらどこか通い合うものがあって、メイン州のポートランドとオレゴン州のポートランド、それぞれ 3191 マイル離れたところに住む2人のこの静謐な交信からは、穏やかで暖かな光が放たれている。

   夕食。昨夜眠い目で朦朧と作っておいた塩豚を使って、2時間かけて煮物。といってもお鍋まかせでことこと煮るだけだから、更新前にはすごくありがたい。どちらも高橋みどりさんの 『伝言レシピ』 からの料理。




   お箸でほろほろとほぐれる豚肉。
   こういうお料理って、醤油+焼酎+砂糖とかの甘辛味が定番だったけど、このあっさり塩味、おいしい。





   こちらの炒め物の方は・・・悪くはないんだけど、たくわんがなー 甘いのがなー
   お塩だけで漬けた梅干しとか、たくわんとか、どうして見つけるのがこんなに難しいの。





   いただきまーす。


   *   夕食   *
   ・塩豚とごぼう、人参の煮物。
   ・豆もやしと油揚げとたくわんのぽりぽり炒め。
   ・つるむらさきのお味噌汁。






      どく気がない。

     Thu.25.8.2011 



   荷物を送ろうと準備してたら、いつのまにかぬかりなく箱に収まってる猫がいるんだけどどうしたらいい。

   お昼のおそうめんを琥珀用の豆皿に少し取り分けてやるのをきらきらした目で眺めていた黒白猫。「かかさん、自分の分取り分けたですね。じゃあ琥珀食べますよ。」とためらいなくテーブルに乗り、わたしの分のおそうめんに猫手を突っ込もうとしているところを取り押さえる。ストーーーーップ!一体全体どうやったらそんな自由な発想になるんだ!

   とにかく最初の一口だ。一口だって?口の前からもう始まっているじゃないか。まずは唇の上をあの金色の泡と、その泡で増幅された爽快感が通り過ぎ、やがて苦味で濾過された幸福がゆっくりと口のなかに広がる。(「ビールの最初の一口」)

   あああああ、ビールの用意がない時に、うっかりフィリップ・ドレルムの 『ビールの最初の一口とその他のささやかな楽しみ』 を再読してしまったわ・・・!このひとの手にかかると、もはや吸入薬ですらおいしそうに思えてくる。日曜日の朝の祝祭の彩りを持つケーキ、甘くとろりとしたポルト酒、朝早くに買う焼きたてのクロワッサン・・・読み終わる頃にはきまってそわそわしてしまうので、わたしのような食いしん坊のひとには、寝る前に読むのはおすすめしない。フィリップ・ドレルムのエッセーはあまりにも魅力的で、2冊しか邦訳されていないのが残念でならない。なぜか英語にもあまり翻訳されていないようだ。英語版では、How I Like to Spend My Time を読んだだけだけど (今 Amazon.co.jp で見たら、 6万円以上の値段がついていてぎょっとする)、A Little List of Favourite Things の方も読んでみようかな・・・

   なんだか白いものが食べたいなーと大根料理2品。




   初挑戦の大根のマリネ。
   ディルの風味、にんにくの風味、レモンの風味が溶け合ってすごくおいしい。





   そして定番の、帆立と大根のサラダ。
   登場回数が多いこのお皿は、スウェーデンの Gefle 社の EVA。お気に入り。





   メインディッシュは Gambas al Ajillo。海老がふっくらあまーく仕上がるのにびっくり。
   海老の旨味が出たオリーブオイルもおいしいので、今回はぬかりなくバゲットを用意して。


   *   夕食   *
   ペリエで。
   ・大根のマリネ。
   ・帆立と大根のサラダ。
   ・ガンバス・アル・アヒージョ。
   ・バゲットとチョリソ入りパン。






      スマイル!

     Wed.24.8.2011 



   120〜140年くらい前のダヴェンポート。
   オリエンタルな柄の C&S は卵の殻のように薄くて、とても軽い。
   白い C&S ばかり選んでいたその頃のわたしにしては珍しく色鮮やか。





   その裏にスマイルマーク発見!
   絵付師の人は、手がけた作品にイニシャルや記号を残したりすることがある。
   ソーサーの裏にも同じ絵があったから、これもその1つだろう。
   ありがとう名も知らぬひと。わたしをしあわせな気持ちにしてくれて。


   スーパーにて。鮮魚コーナーの「天然さんま!」の文字を前に、小学生くらいの男の子がお母さんに「天然の反対は、人工?」と訊いていた。人工さんま・・・いやですそんなメカニカルな旬の食材。

   英会話教室では小粋にミス連発。とどめに推理小説についてのヒアリングで、the remains of an unidentified male の male を meal と聞き間違えてとてつもなくアンニュイな気持ちになる。身元不明の食事の遺体ってなんなのですかわたしよ。

   ぼくはひどく疲れていたけれど
   そばに誰かいてほしかったので
      蝋燭をともし

   その光の心地よい声を
   聞きながら眠った。

(「おしゃべりな蝋燭」)

   リチャード・ブローティガン詩集 『チャイナタウンからの葉書』 再読。優しくて、壊れ物の心を持っていた、そしてこの世界と折り合うのがとても難しかった詩人の、その孤独な死を思う。




   アボカドたっぷりジョジョサラダ。今は閉店してしまったお店の人気メニュー。行くたびに注文していた。
   しっかり水切りして崩した木綿豆腐、ぱりぱりの新鮮なもやし、食べ頃のアボカドを合わせ
   お醤油と植物性オイルを1対1で合わせたドレッシングをかけるだけ。
   シンプルなのに、複雑なおいしさがある。




   あとは温めたピタパンと



   鶏。ちょっと焼き過ぎちゃったなー

   *   夕食   *
   すだちを浮かべたペリエで。
   ・ジョジョサラダ。これを初めて食べた人は皆、「卵入ってる?」と訊くのが面白い。
   ・鶏手羽とプチトマト、さやえんどう、紫キャベツ。
   ・ピタパン。






      夏戻る。

     Tue.23.8.2011 



   たんぽぽと琥珀。

   暑さ復活!あぶないあぶない、すっかりだまされるところでしたよ。しかしなんなんでしょうか、わずかここ数日の間のこのジェットコースター的気温の変化。冷蔵庫に入れられたり、日向に置かれたりしたオオアリクイのようなぐったりした心境。(オオアリクイを冷蔵庫に入れてはいけません。)

   7時になると、大ホールの扉が開かれ、ごちそうが現れた。中央には氷で出来た巨大な鳥打帽(ディアストーカー)[ホームズのかぶる帽子として有名]が置かれ、その横には同じくらい巨大な氷のパイプが並べてあった。そして、パイプの火皿からは蒸気が、この上なくやさしい曲線を描いて立ち上っていた。これを囲む形で整然と並べられた料理にはすべてラベルが貼ってあり、そのほとんが本書から再現されたものだった。各々のテーブルには、前菜の中央に置かれた目玉料理(センターピース)[centerpiece は「テーブルの中央に置く生花等の装飾品」のこと]の飾りに、ホームズのシルエットが浮き上がったゼラチン製のレンズをつけた、塩を利かせたパン生地製の虫眼鏡が添えてあった。 (「1976年11月6日」(C.I.A. でのシャーロッキアンフェスティバルの模様を記した項))

   ジュリア・カールスン・ローゼンブラッド&フレドリック・H・ソネンシュミット 『シャーロック・ホームズとお食事を ベイカー街クックブック』 読了。言葉遊びが散りばめられたこの本、訳者の方はさぞ苦労されたことだろう。シャーロッキアンの笑ってしまうほど綿密な考察と共に、彼らが食べたであろうと想像される料理のレシピが載っている。ウェンズレーデール・チーズとか、牛のスエット(腎臓の脂身)とか、山鴫とか、ビート果汁とか、日本では簡単に手に入らないものも散見されるが、ウェルシュラビットとか簡単に作れるレシピもあるし、なによりいろいろ想像しながら読んでいるだけで楽しい。ところでわたしは、アメリカ料理大学なるものの存在をこの本で初めて知った ― その略称が C.I.A. であることも。「CIA 出身です。」なんて言ったら、いらぬドラマを招かないだろうか。そして 「CIA で試作された料理」というフレーズには、007 ばりのとてつもなく危険な響きがある・・・




   初さんま!
   半分は目を輝かせてにじるよる猫たちのお腹の中に収まってしまった。
   猫たち用に塩をふらずに焼いているが、たまにはお塩を振って焼きたいなー




   へりがかりっと焼けた厚揚げが好き。
   しかしこれでお腹がいっぱいになって、ごはんが入らず。




   そろそろ残り少なくなってきただだちゃ豆。
   あまーい!




   この暑さに、あっさりと復活した硝子の箸置きと煤竹のランチョンマット。

   *   夕食   *
   ・さんまの塩焼き、大根おろし、すだち。
   ・厚揚げ、おろししょうが、大根おろし。
   ・大根とわかめのお味噌汁。
   ・だだちゃ豆。






      扉を開けると奴が待つ。

     Mon.22.8.2011 



   「かかさん、当然もう遊んでくれるですよね。」

   このところ、ダイエットに成功した黒白猫のエネルギーが溢れて止まらない・・・琥珀はジャンプが得意で、身の軽い仔猫の頃には1.5メートルくらいの高さの連続ジャンプを軽々とこなしていたが、再びそれくらいの高さまで飛べるようになったばかりか、仔猫の頃よりも体力が増した奴は、遊んでも遊んでも満足しない。製作途中で仕事部屋の扉を開けると、常にそこにはハチ公のように待機している琥珀がいて、すごい眼力で「・・・遊んで。」と訴えかけてくる今日この頃なのだった。

   友だちの家でごちそうになるような、おかあさんの手作りといった感じのレモネードを、はちみつの匂いに誘われて寄ってくる蜜蜂を追っ払いながら飲むと、子どもの頃の夏休みの気分になれた。自家製のパイ生地に、レッドペッパーとゴーツチーズをのせて焼いたヴェジタリアン向けタルトは、さくさくと軽やかな歯触りと贅沢なトッピングの味とで絶品だった。 (「グレンジコンのオーガニック・カフェ」)

   松井ゆみ子『ケルトの国のごちそうめぐり』再読。アイルランドのおいしいものについてのエッセーで、さくさくした歯触りや香ばしい香り、立ち昇る湯気のぬくもりまで感じられるような写真と共にその文章を読んでいると、ああ、あれも食べたい、これも食べたい、と夏バテ中の今ですらそわそわしてしまう。そしてこの本を読み返す度に、「うう、モルト・ヴィネガー買っちゃおうかなー」とモルト・ヴィネガー症候群に陥るのだった。

   今日もひんやり。きっとこのひんやりはいっときだけのフェイクなひんやりだ!と思いつつも、気分は秋モードになりつつある。そして、料理に使ったりもしているものの、今なお冷蔵庫にたっぷり残っているおそうめんのつゆをどうしたら。いつものガラスのピッチャーでは入りきらなかったので、普段麦茶用に使っている大きなピッチャーに入れてあるが、このままでは麦茶と間違えて飲んでしまう日も近い。




   うっかり間違えて買ってしまった紫キャベツを添えてみる。
   焼いてみたら思いのほか大ボリュームだった生姜焼き。いっしょに出しただだちゃ豆を食べる前に満腹に。




   自家製なめたけに塩山椒をのせて。
   芙蓉の花のような小鉢は、宮岡麻衣子さんの作品。




   こんなに肌寒いと硝子の箸置きって感じじゃないなーと、陶器のうさぎで。


   *   夕食   *
   ・豚の生姜焼き、紫キャベツ、プチトマト。
   ・自家製なめたけ+塩山椒。
   ・かき玉汁。
   ・だだちゃ豆。






      夏はどこへ行った。

     Sun.21.8.2011 



   その道のひと(どの道のひと?)にはたまらない、"THE KEY OF SOLOMON" の The Second Pentacle of Jupiter。
   うっとりとプライベート用にお迎え。
   Giovanni さんのオリジナル封蝋印。さすが。


   暑くて、寒くて、ぶるぶるするものなーんだ?答えは、昨夜のわたしです。これはもしや、あの、賢者は引くことがないとちまたで言われている、例の、夏風邪・・・?いやきっと、英語の夏期講座の余波の知恵熱に違いありませんよ!と自分に言い聞かせる。

   皿からあふれそうなポム・フリット(ポテトフライ)、バターでつやつやしたアリコ・ヴェール(ゆでサヤインゲン)、アツアツのマカロニグラタン・・・。ビストロのガルニテュール(付け合せ料理)ってどうしてこんなに食欲をそそるのでしょう。 (「ビストロのガルニテュール les garnitures de bistrot」)

   柴田書店 『ビストロブック FOOD & STYLE』 読了。美しい写真と共に作り方が紹介されているレシピブックで、フランスや日本のビストロの紹介も載っている。牛鼻(下ゆでし、下味のついたもの)とか、仔牛の頭(掃除し、骨を除いたもの)とか、生ハムの足首赤身とか、ちょっとそこらで気軽に見つけるというわけにもいかない材料もあるが、少人数分から作れる料理、手軽な料理もあるし、なによりもおいしそうな料理の写真や、エスペレット唐辛子とか、ジュニエーヴルとか、紐状アンドゥイエットとか、知らない素材の名前を眺めているだけで楽しい。ああなんておいしそうなマグロのピッツァ。高校生の頃、古書店で Louise Steele のウィークエンド・クッキングシリーズを3冊ほど買った。全部で1,000 円もしなかったその本の中には、エンダイヴ、プンパーニッケル、ラディッキオなど見慣れない素材の名前が並んでいて、どんな味がするのだろうとわくわくした。今その素材は、近所のお店や、インターネットのお店で手に入れることが出来るようになった。もう何年か後には、今はそれがどんなものか想像もつかない紐状アンドゥイエットなんていうものも、実際に自分の目で見、味わうことが出来るようになるのだろうか。

   今日も冷え冷え。味が沁みた昨日の豚汁にうどんを入れて、七味を振って、ふーふー吹きながら熱々を頂く。1週間前はあんなに夏な気候だったことが、すでに信じがたい。




   真っ白な湯気がわーっと上がるくらい気温が低い。




   シーチキンとゆで卵入りのポテトサラダ、通称 "漁師のサラダ"。パプリカを振って。
   お皿は RORSTRAND の Colette。40 年くらい前のヴィンテージ。この艶なブルーが好き。


   *   夕食   *
   ・豚汁うどん。
   ・漁師のサラダ。シーチキン、ゆで卵、じゃがいも、玉ねぎ、ケッパー、オリーブ。
   ・だだちゃ豆。






      信じるべきか信じざるべきかそれが問題だ。

     Sat.20.8.2011 



   なにか羽織るものでもお貸ししましょうか・・・?

   昨日に引き続き、今日もあれっというほど涼しい。とても快適だが、もしかしてこのまま秋になっちゃう・・・?「なんて暑いんだ・・・どんどん減っていくし、もうこうなったらおそうめんのつゆを多めに作ろう!」といつもの2倍の量作ったらいきなりこの気温になったわけだが、今度はこの涼しさを信じて、クッキーやマドレーヌを焼いてもいいものだろうか。それともすぐに思いきり暑くなって、「なんでこんなもの焼いたのわたし・・・」といっぱいに詰まったクッキージャーを前に呆然とすることになるのだろうか。

   イングランドのサフォーク州のダックワーズ城に住んでいた妖精または取り替え子の名前。13世紀のシトー修道会の年代記作者、コギシャルのラルフが彼女のことを伝えている。この精霊は並外れて早熟であり、城主と立派な英語で会話し、召使い相手には方言を使って話し、司祭とはラテン語で知的な聖書談義をすることができたという。(「モーキン MOLEKIN, MOLKIN, MOWKIN」)

   あまりに面白くて、引き続き キャロル・ローズ 『世界の妖精・妖怪事典』 再読。今興味があるのは、上のモーキンという精霊と (たった一度だけ侍女の前に姿を現した彼女は、白いリンネルのチュニックを着た、とても小さい人間のこどものような姿だったという)、それから英国各地の伝承に現れる巨大な黒い妖犬 (シャーロック・ホームズの『バスカヴィル家の犬』もこの伝承を下敷きにしてるよね)。カペルスウェイト CAPELTHWAITE のように、知っている人間たちには友好的な存在もいる一方で(見ず知らずの人は夜追いかけ回された上に生垣や水路に投げ込まれるけど)、たいていはその姿を見ただけで凶事が起こる、巨大な犬として描写されている。なにかこの伝承のもとになる事件もしくは生き物が存在したのだろうか。最近、カナダ・オンタリオ州のエリオット湖畔に住むという巨大なヘラジカの写真を見て感動した。もし本当にあの写真のヘラジカが存在するなら、出逢った瞬間に、畏敬の念でわたしはきっと動けなくなる。ごく最近まで、こんな風な生き物に遭遇した人たちは間違いなく、神話や伝承としてその姿を残してきたんだろうなあ。

   夜。こんなに肌寒いと、もはや暖かいものが食べたいよねーと豚汁メインで。




   鶏で作った肉じゃが。ぴり辛風味。
   入っている野菜が豚汁とほぼ同じなのは秘密だ。




   豚より野菜中心。
   物の弾みであまりにも膨大な量のささがきゴボウを作ってしまった。





   今日は黒米を入れて炊いてみた。大さじ1杯くらい入れただけでごはん全体がもちもちして、
   超お腹がいっぱいに。だだちゃ豆も茹でたんだけど、満腹過ぎて食べられなかった・・・





   実家から届いた民田茄子のお漬物。わーい。


   *   夕食   *
   ・鶏じゃが(なんて名前の料理はあるのか)。
   ・豚汁。ごぼう、じゃがいも、人参、長ねぎ、油揚げなどなど。
   ・納豆とつるむらさき。つるむらさきの季節がもうじき終わるのが残念。
   ・黒米入りごはん。
   ・民田茄子のお漬物。
   ・お腹いっぱい過ぎて、まったくもって食べられなかっただだちゃ豆。






      秋のような。

     Fri.19.8.2011 



   朝の風景。
   急にひんやりして、ひまわりたちが寒そう。


   朝9時頃、急に空が暗くなったかと思ったら一気に気温が下がって、雷混じりの豪雨に。雷と言っても、そこここに落ちまくりの「お助けー!」って感じではなく、ごろごろという音が、激しい雨音に添うドラムの音のようで格好いい。熱のあるぼうっとした頭に涼しい風が心地よくて、窓をちょっと開けて外を眺めて過ごす。

   アフリカ系ブラジル人のカルト、バトゥーキで崇拝されているエンカンタード。人間だったドン・カルロスは深酔いし、ジュレマの木の下で前後不覚になっていたらしい。三日後に蘇ったドン・カルロスはジュレマ一族のエンカンダードになっていた。(「ドン・カルロス DOM CALOS」)

   楽しみながら折々読んでいたキャロル・ローズ『世界の妖精・妖怪事典』読了。この事典、Aitvaras とか Laumė とか Lauko sargas とかさりげなくリトアニアのいにしえの神さまについても記載があるのも嬉しいが、なんといってもところどころに見つかる面白い記事がいい。事典という性質上、1つ1つの記事の説明は極端に簡略化されていて、それが余計にそのシュールさを高めている。引用した文中のエンカンダード EENCANTADO というのは、アフリカ系ブラジル人の一部の人達の信仰の中で、天使と人間の帰依者の間に位置すると考えられている存在だそうだ。ギリシャ神話における、神の血を引く人間みたいな感じの存在なのかな・・・と思って読み進めていったところ、なんでしょうかこのドン・カルロス。二日酔いならぬ三日酔いになって目が覚めたらそんなすごい存在になっていたというのだろうか。そして「前後不覚になっていたらしい」って、なんでそんなに曖昧なの。それぞれの信者がどのエンカンタードに属するかどうかは、憑依状態になった信者の様子を見ればすぐにわかるというが、ということは、ドン・カルロスの信者は、酩酊状態みたくなるの・・・?もしくは(見たことないけど)三日酔いの人みたいに・・・?あまりにも謎めきすぎて、頭に続々と浮かぶ疑問符が止まらない。

   午後、次第に熱が下がって復活。せっかく涼しくなったわけだし、と揚げ物にしてしまったわけだが、この体調でこのメニュー選択ってどうなんだ。




   子供のお弁当のような組み合わせのプレート。
   しかしながら、山本麗子さんの 『101の幸福なレシピ』 の配合による衣の鶏の唐揚げは、五香粉入りで大人の味。




   薄切りにして水にさらした玉ねぎをベッドに、スモークサーモン&アスパラ&ケッパーをのせただけ。
   黒胡椒、フルール・ド・セル少々、ヴァージンオリーブオイルで。



   *   夕食   *
   ・鶏の唐揚げと前回作って気に入った、皮ごと揚げたフライドポテト+プチトマト。
   ・スモークサーモン、玉ねぎ、アスパラガス、ケッパー。
   ・だだちゃ豆。






      夏の日。

     Thu.18.8.2011 



   今日のお昼も、琥珀にすがりつかれつつ、これ。
   薬味には青紫蘇も欲しい派。めんつゆは、昆布、かつおぶし、干し椎茸の出汁を合わせる派。(琥珀がじゃなくてわたしが)


   最近感じていたこと。

@暑いなー  (夏だからね)
Aなんかよく家具とか柱にぶつかるなー  (脚、青あざだらけ)
Bぼうっとするなー  (でもいつもぼうっとしてるしねー)
Cなんか顔赤いなー  (日焼けしたかなー)

で。今日の夜ふと体温を測ったら38度直前。そこで疑問なのは、いつからこの熱はあったのか・・・遠大な疑問すぎてよくわからないわ。

   水路を取り巻くこのヨーロッパ中世の城塞都市は、バロの成熟期の作品すべてにわたって見られる背景である。城も家も教会も塔もこの城塞都市の中に含まれ、そこにバロは人物たちを存在させている。(「螺旋の運行」1962 年)

   レメディオス・バロの画集を眺めながら早めに就寝。美術展のカタログという性質から仕方がないのかもしれないが、この画集には説明はいらなかったかもなあと思う。彼女の描く、果てしなく開けているようでいて実は不思議なほど閉じたサークルを巡る世界は、見ようとする者の前に気負いも仰々しさもなく開かれる。ことばはそこにある謎を開く鍵であるように一見見えるけれども、その実、その他にも無数にある扉を1つに限定してしまう試みでもある。これは作品のリーディングにも言えることで、考えさせられることだった。

   夜はあまりお腹がすかなくて簡単に。




   ここに、昼間のうち作っておいためんつゆをかけて頂く。茹でたささみをほぐす作業は結構好き。
   このピンぼけの要因は発熱ではなくわたしの腕だと思われる。




   実家から送られてきただだちゃ豆。甘くておいしい!
   茹でるときから格段に甘い香りが漂ってくる。



   *   夕食   *
   ・焼き鮭。
   ・冷奴+ほぐした茹でささみ&搾菜+めんつゆ。
   ・だだちゃ豆。






      そうめん猫。

     Wed.17.8.2011 



   おそうめんをテーブルに置くと膝にすがりついて離れなくなる琥珀。
   なぜそんなにもこれが好きなんだ。


   夏期講座ようやく終了・・・!長かった。この講習中最もショックだったのは、ケチャップのスペルを間違えたことでも(K じゃなくて C で始まっている時点で終わってる)、ウスターソース、っていうかウスターシャーソースが書けなかったことでもなく(Worcestershire と綴るべきところを清々しくUster と書いたわたし)、カナダ人の先生も、アメリカ人の先生も「パンにピーナツバター&ジェロ―、それにミルク!子供の頃からこれが完璧な昼食!」と語っていたことだ。や、野菜は?野菜は食べないのですか?

   アカンサスをはじめとする、きわめて大ぶりの植物文様をみていると、私は、たとえばアカンサスが遥か昔から地中海の植物であった
   ことを思い、それがミルトやえにしだ、ブーゲンヴィリアの花、オリーヴや糸杉とともに、ギリシアの神殿の柱頭をかざり、自然と調和し
   ていた人間の生活に深く根差していたと思わずにはいられないのである。 (「聖ベネット・デ・バーへス修道院」)

   ロマネスク繋がりで、饗庭孝男 『聖なる夏』 読了。昨日読んだ 『ロマネスクの園』 と同じくこの時代の修道院や教会を巡り記された本ではあるけれど、旅案内としての本というよりも、こちらの方が、筆者の思考の旅路の記録としての性質がより強い。作者は聖ベネット・デ・バーへス修道院の回廊について「まことに多くの夢想の器」であると語っているが、その言葉通り、いにしえの修道院の庭や回廊の描写が、作者の夢想や連想につれてふわふわと別の場所や時代へと漂い、いつしかまたその修道院へと戻ってくる様は、夏の午後、心を自由に泳がせながら木陰をゆっくりと散策するのに似た心地良さがあるのだった。




   海老の茹で上がりと共に、台所の扉の硝子をバンバン叩く猫たち。すみません恐ろしいのですが!




   無性にトマト味のソースでペンネが食べたかったので満足。


   *   夕食   *
   ・海老とアボカドのサラダ、オーロラソース+スプラウト。
   ・トマト&玉ねぎ&ひき肉&ズッキーニのソース+ペンネ。






      猫歯磨き。

     Tue.16.8.2011 



   ひとしきり猫じゃらしで遊んだ後、コンパクトな箱の中になぜかぎゅうぎゅうに詰まる猫親子。
   あのう・・・暑くないのですか?


   評判の良い新しい猫用歯磨きグッズを導入した。が、残念ながら、猫たちの激しい抵抗ぶりに変化はない・・・といっても唯一、どうにかこうにか歯磨きをさせてくれるのは小さい頃から始めた琥珀と、そして牡丹のみ。でも、「△※○§〒◇?!」みたいな解読不明な声で叫ぶのは毎度のこと・・・おまけに今日は牡丹に思い切り噛まれて指に穴が開きかけた。始める前にリラックスさせてあげることが寛容だと言うけれど・・・無理だよ!歯磨きグッズをみただけで大騒ぎですよ!こんな状況でリラックスするわけないよ!ああ猫にだって歯磨きが必要だと、もっと早くに気づいていれば・・・!

   以上に紹介したル・トロネ、シルヴァカーヌとこのセナンクの三つの修道院は「プロヴァンスの三姉妹」と言われている。
   セナンクは末娘だがシュヴェ(枕元)にはラヴァンドの褥を敷きつめ最も優雅に暮らしている。長姉ル・トロネは風姿は
   最も厳しいが真の美人と言えよう。

   高坂知英『ロマネスクの園』再読。ヨーロッパ各地のロマネスク建築について記された本だ。詩的な旅日記ではなく、1つ1つの修道院や教会について、冗漫なところのないすっきりと削ぎ落とされたそっけないほどの文章で記されているのだけれど、その合間にふと覗く描写、たとえば「門の所に小さな手書きの紙片あり。それは翌日夕方からここでモーツァルトの音楽会があることを伝えていた。村人が三々五々モーツァルトをきくために畑中の道を行く様を想像しながら村にもどった。」などというくだりに、筆者の視線や触れたものの手触り、その場の空気が感じられる思いがする。趣のあるステンドグラスやファサードの古めかしい写真も好もしい。




   ぼうっとケチャップのボトルを握っていたら、こんなことに・・・
   昨日のラタトゥイユの残りで作ったオムレツ。美味。





   冷凍しておいたハンバーグの種を焼いて。




   ひさしぶりにコロナ。
   ライムを絞ったグラスに注いだら、「まさに今、こういう味のものが飲みたかった!」という味で幸せ。



   *   夕食   *
   ・ラタトゥイユオムレツ。
   ・ハンバーグ+ブロッコリー+オクラ。野菜をこのソースにつけていただくとおいしい。






      負けるなきゅうり。

     Mon.15.8.2011 



   ミニミニサイズの硝子ペンとブロッター。表紙にピューター製ガーゴイルがあしらわれた凝った豆本は凱留狗工房さん謹製。
   サイズ比較のために置いたのは私物の非加熱サファイアリング。
   


   続々夏期講習。脳のエンジンの回転がストップしつつあるのが自分でもわかる・・・今日は思いついて本を持っていき、休憩時間に先生にも Tanith Lee の小説の不明箇所を訊いてみたが、scholars は自分たちの目を潰したのだと思うが、しかし前後を読んでもどうしていきなり彼らがそんなことをするのか意味のつながりがわからないという解答。どういうことなの一体・・・

   夕食の材料を買いに野菜の豊富な地産地消のお店に行ったら、見るからに新鮮なきゅうりの山の前に「世界で1番栄養のない野菜と言われています!」というPOP が晴れやかに飾られていた。なんでいきなりきゅうりディスってるのー?!なんなのこの野菜コーナー。きゅうりにだっていいところがあるじゃないか!あのパリパリした気持ちのいい歯触りとか!瑞々しさとか!と心の内できゅうりの肩を持ちつつもズッキーニを買ってしまった。すまないきゅうり。

   Tanith Lee "Venus Preserved" 第2章 "The Return from Sleep" をようやく読了。読みながら何度寝かけたことか。つまらないわけではなく、寝る前に横になりながらうとうとと読んでいるのが原因。はっと気がつくと何度も同じセンテンスを読んでいることに気づいたりしてこれはもはや "The Return to Sleep" だわ・・・もしかして永遠に読み終わらないのでは・・・と思っていたが、ようやく次の章 "Actors and Spirits" に入れて一安心。




   小さなキューブに切ったズッキーニはオリーブオイルでにんにくと一緒に炒めて
   最後にふりかけてある。





   今日は茄子、ピーマン、玉ねぎを入れて。
   ラタトゥイユ、って打とうとしたらPC がラタトスクって勝手に変換。そんなもの食べるか!ユグドラシルに帰れ!





   使った茸は、ヒラタケシメジ、舞茸、ヒマラヤヒラタケ(アワビタケ)。


   *   夕食   *
   ペリエで。
   ・ズッキーニ、きたあかり、モッツァレラのサラダ+ピンクペッパー。味は塩、黒胡椒、オリーブオイル。
   ・ラタトス・・・じゃなくてラタトゥイユ。
   ・ベーコンと3種の茸のパスタ。






      満月。

     Sun.14.8.2011 



   なんか、ヒエロニムス・ボスの絵的な。

   私信:すまない。送った手紙の封蝋印が「怪奇!宇宙人現る!」みたいになったよ。

   さて、それは置いておいて。予想通りスペシャルにぼーっとした更新明け。ただでさえ満月の日はぼうっとしているか、ハイパーかの二択だというのに。今日は夏期講座が休みで良かった・・・この有様で製作をすると、炎上!とか崩壊!とか爆発!とかいう感じの目を覆うようなえらいことをやらかしそうなので、おとなしくNeutral さんの夏限定脱出ゲームを解いて時を過ごす。スイカに風鈴に蚊取り豚。さすがNeutral さんで今度のゲームも手堅く面白く、途中唸りつつもわくわくと楽しんだ。これが期間限定なんてもったいないなあ。 

   いつか訪れたい、憧れのBRAN 城の写真集 "CASTELUL BRAN" 読了。読了と言ったってこの本はルーマニア語で書かれているので、英訳と対比しつつ写真のキャプションをたどたどしく読むくらいで、まえがきに至っては全然読めない。ルーマニア語は短期講座に通ったのと、白水社のエクスプレスシリーズを1冊上げたので終わっているが、いつかまた勉強したい言語の1つ。山ほどあったほかの言語関係の本の殆どは整理したが、ルーマニア語に関しては、辞書や語学書も取ってある。暖かみのあるその発音や力強さに惹かれる言葉だ。




   別にお刺身が疾走していたわけでもあるまいに、写した全写真がピンぼけてるのはどういうことだ。




   最近気に入ってるなめたけ&冷奴。梅肉ものせて。




   とりあえず、オクラ多過ぎ。納豆埋もれてる。




   銀河高原ビール、ひさしぶり。グラスはぬかりなく冷凍庫でかんかんに冷やしてある。


   *   夕食   *
   ビールの後は日本酒で。
   ・お刺身盛り合わせ。
   ・冷奴+なめたけ+梅肉+青紫蘇。
   ・納豆+オクラ。
   ・水茄子お刺身。
   ・青海苔入り玉子焼き。






      満月前日。

     Sat.13.8.2011 



   猫を抱く天使像は、高橋朝子さんのお作りになった作品。

   引き続き今日も、英会話教室の夏季特別授業。地震直後に複数回欠席しているので、これに参加しておかないといろいろとまずいのだ。今夜更新というシチュエーションなので、早起きして出来る限り準備を進めておいて出席。今日は上級クラスの参加者が多くて、話の展開およびスピードが早い。が、普通に会話に入れる。ありえないな・・・やっぱり頭のフタがどこか開いてるんだなこれ。上級クラスのメンバーを目にするのはほぼ初めてだけど、ご高齢の女性が多い。そのすごい語彙力に感心。単に単語力があるというだけじゃなくて、ネイティブの使う言い回しから、かなりダーディーなフレーズまでカバーしている。海外在住だった方もいらっしゃったけど、その時に学んだことだけでやっているわけではなく、日本にいる今も引き続き勉強されてるんだろうな。

   夜、更新も無事終わり、熟睡・・・のはずが、頭のスイッチが切り替わらず、ならばとこれを読むと必ず即寝てしまう英語で書かれたリトアニア語の文法書を読み始めたが(日本語で書かれた文法書は存在しない)・・・普通に1章読み終えちゃったよ。なんなのこのハイパー状態。結局明け方まで寝ているような起きているような不思議な状態で過ごす。でもその途中でふと浮かんできた作品のスケッチをしたはずが、朝見てみると製作ノートにはなにも描かれていない。寝ぼけてとんでもないものにスケッチしてないといいな・・・




   生ハム巻きのモッツァレラに




   今日こそ Gambas al Ajillo(海老のガーリックオイル煮)。
   海老が格段に甘くておいしい。
   海老の旨味が出たオイルもおいしいから、ピタパンじゃなくて、バゲット用意すればよかったな・・・とちょっと後悔。





   ピンぼけてるけど、シャンピニオンのベーコン詰め。柄を取ってそこに刻んだベーコンを入れてある。




   あとはオリーブ&フェタチーズを入れたタブーリサラダとピタパン。


   *   夕食   *
   撮り忘れたけど、最初にシャンディ・ガフを作って、後はスペインの赤で。
   ・生ハム巻きのモッツァレラ。
   ・ガンバス・アル・アヒージョ。
   ・シャンピニオンのベーコン詰め。
   ・タブーリサラダ。
   ・ピタパン。






      電波ヒアリング。

     Fri.12.8.2011 



   日差しの強さにステンドグラスの色彩が鮮やかに浮き上がる。
   80〜90年くらい前のイギリスのもの。


   更新直前でそろそろいろいろ大回転になりつつある今日から、英会話教室の夏季特別授業が開講ですよ・・・!脳内身体共にオーバーヒート気味でなんか小粋に瞳孔が開いちゃったまま受講。そんな今日に限って異様に聞き取れるが、どう考えてもこれ、聞きとり能力が向上しているわけではなく、なんかもう、英語以外のなにか、テレパシーとかなんとか星からの電波とかで相手の言っていることを理解しているとしか思えない。もしかしたら耳を塞いだままでもコミュニケーション出来るかも・・・なんてぼうっと考える。そして今日のディスカッションのテーマは、「アメリカ、カナダ、日本における体罰の違い」という真面目なものだったんだけど、ノートには whipping、spanking、switch なんて単語が並んで複雑な心境。

   今思えば何てことのない実験だった。だってその「退屈」は一週間で終わるとわかっていたんだから。
   ここでは結末がいつまでもやってこない。(「闇の中の筏」)

   フジモト マサル 『夢みごこち』 再読。かわいらしい、けれどどこかリアルな動物たちが繰り広げる、日常に空いた非日常という名の底なしの落とし穴についての物語。ディストピア・コミックってぴったりの惹句だなあ。どれが夢で、どれが現実なのか。誰が夢の中の存在で、誰がその夢を見ているのか。繰り返し現れる二組の名前が、読者をも現実と夢のあわいへと引き込んでいく。これを読んだのはちょうどあの大地震の直後で、あの頃しょっちゅう流れていた地震速報の音、余震対策で居間で寝ていたこと、繰り返し訪れる大きな揺れの感覚とかがこの物語の空気とあまりにも繋がっていて、いろんな意味で忘れられない一冊になった。あらいぐまの父子の平和な朝の会話から始まる「田舎暮らし」という話は、読み進めるうちに次第に広がる違和感と拡大していくそこはかとない不安がラストにつながる感覚が秀逸。たいそうダンディなバクが主人公の「亡者の戯れ」も好きだ。あの状況で最後のあのセリフを言えちゃうのがすごい。わたしだったら最後のセリフは「あーあーあーあーもー・・・」とかに違いない。




   お買い得な蛸発見!ということで、ずっと食べたかった蛸飯を。
   生姜、にんにくのみじん切りと一緒に薄切りにした蛸を炒めて、ナンプラー少々で味付け。その汁+水で普通にごはんを炊いて、
   炊きあがったごはんに蛸&生姜&にんにく+塩山椒を混ぜ込むだけ。





   暑いのでところてん。




   空芯菜とにんにくの炒め物。ちょっとナンプラー風味。




   そして、味噌漬けの豚肉と野菜炒め。


   *   夕食   *
   ペリエで。
   ・蛸飯。
   ・ところてん+青海苔。
   ・空芯菜炒め。
   ・味噌漬け豚+もやしときゅうりの炒め物。
   ・茄子のお吸い物。






      満月近く。

     Thu.11.8.2011 



   豆本には惹きつけられる魅力がある。読書が、別の種類の秘密めいた愉しみへと変化する。

   姉のうららに襲いかかってめちゃめちゃ叱られた(おまけに姉からも猫パンチをくらってふっとんだ)琥珀が、わたしのサボの先端にせっせとおもちゃのねずみを詰めている現場を捕獲。貴様そこへ直れ!

   歩いていて幾重にも条の入った白い石粒を拾った。そこに、わたしの生の方向性がすべて条になって現れていて、
   しんとした簡潔な思いになる。(「石粒」)

   川田 絢音『空中楼閣 夢のノート』 再読。夢を記した作品の中では、この本が1番好きだ。夢の中からすくいとりながらも現実の言葉に変換できないもどかしいゼリーのような感触を、このひとは、詩人ならではのことばの選び方でそっと掴みとって文字へと写し取ってくれる。それは胸のすくような爽快な感覚でもあり、同時に、夢の潮が境界を越えて足先をひたひたと洗うような、ほのかな不安と恍惚を呼び起こす感覚でもあるのだった。




   先が悪魔のしっぽみたいな形になってる銀のフォークは、アンティークのピクルスフォーク。
   ピクルス・ジャーの底まで届くように長く、刺した後で抜け落ちないように返しがついている。





   カリカリベーコンとトレビス。




   そして、フェタチーズをのせたタブーリのサラダという超無国籍ぶり。




   それぞれを好みの配合でピタパンに詰めて頂く。


   *   夕食   *
   ペリエで。
   ・フムス&ブラックオリーブ。
   ・かりかりベーコン&トレビス。
   ・きゅうり、トマト、フェタチーズを入れたタブーリサラダ。
   ・ピタパン。






      虎 vs. 琥珀。

     Wed.10.8.2011 



   分厚いノートを見るだけで、どうしてこんなに幸福になるんだろう。

   PC で虎の動画を見ていたら、ヘッドフォンから漏れ聴こえる虎の声に猫たちが皆反応することに気づく。おお、とヘッドフォンを外して差し出したら、2階で寝ていた紅葉を除く全員が駆け寄ってきたが、虎の吠声がするたびに、牡丹とうららは耳を伏せ、たんぽぽは身を低くし、弱気なのどかは逃走寸前になる。皆、天に授かった危険を感じる本能を持っているのだなあと感心していたら、駆け込んできた琥珀がばしばしと遠慮なくヘッドフォンを殴り始めた。神さま、ここに本能の恩恵にあずかっていない生き物がいます・・・

   David James "draw your own CELTIC DESIGNS" 読了。その名の通り、ケルティックな文様を書くための本なのだけど、なるほどこれなら描ける!というものもあれば、STAGE 1ではごくごくシンプルな幾何学が描かれているのでこれならいけると思うものの、2ではいきなりそれが超複雑な絵柄になり、3でさらにややこしい絵柄となっているという、「こんなもの描けるか!ていうかSTAGE 2でこんなものがいきなり描ける人は、この本いらないと思う・・・」というものもあって複雑な心境。一方で、素晴らしいケルトの黄金細工や美しい螺旋模様の石のカラー写真が収録されていたのは思いがけない喜びだった。




   ベーコンの塩味にマッシュルームの旨み、パプリカの甘みのバランスがいい。クリームバルサミコをかけて。




   どーんとハンバーグ。ソースはフライパンの焦げに赤ワイン+ケチャップ+ウスターソースで煮詰めただけ。美味。
   この暑さの中でじゃがいもを揚げるのは結構な苦行だったが、がんばってよかった。ほくほく、あまーい。





   いただきまーす。


   *   夕食   *
   ビールと赤ワインで。
   ・ベーコン、赤パプリカ、マッシュルームのソテー。
   ・ハンバーグ+フライドポテト+茹でさやえんどう。






      夏日。

     Tue.9.8.2011 



   でろりん。
   あまりの暑さにうつろな瞳になって座椅子で伸びてるたんぽぽさん。
   ねえ、そんなに暑いなら日陰に移動すればいいんじゃないの・・・?


   日中、あつーい・・・とぼうっとしながらシャワーでお風呂を洗っていたら、最後の最後でびしょ濡れになって呆然とこちらを見上げる琥珀の存在に気がつく。す、すまない!決してわざとじゃないんだ!君がそこにいることが意識の中に入って来なかったんだ!

   そんなことがあった一方で、猫たちもかなりぼけぼけになっており、猫用布団がしつらえてある茶箪笥の上にジャンプしようとした巨体ののどかことむーちゃんが目測を誤って落ちかけ、猫布団にがしっとしがみついたあげく、その上で熟睡していた姉のうららもろとも、自重で布団と共に墜落する。目をまんまるにしてその光景を凝視した後、いっせいに毛繕いを始める2匹の両親、牡丹&たんぽぽと義理の弟、紅葉。そう、猫はあまりにも気まずい光景に遭遇したときも毛繕いをして心を落ち着かせるのよね・・・

   終わらないノートまとめはおいておいて、寝る前 "Venus Preseved" の読書を再開するが、眠気の神さまがやってきて5ページで陥落。力の抜けた手から落下した本が顔に激突して目が覚める。痛い。こ、今度からはうつ伏せで読もう・・・




   最近気に入っている、叩いた梅干しとかつおぶしを混ぜた自家製なめ茸で、きゅうりを和えて。




   焼いた厚揚げと




   もはや恒例の水茄子。瑞々しいい甘みが美味!




   そしてまぐろのづけ丼。うっかり菜箸で黄身を破っちゃった・・・


   *   夕食   *
   ・きゅうりのなめ茸和え。
   ・焼き厚揚げ。あさつきとおろし生姜。
   ・水茄子。
   ・まぐろのづけ丼。黄身、白胡麻、青紫蘇、あさつき。
   ・わかめとじゃがいものお味噌汁。






      夏猫。

     Mon.8.8.2011 



   牡丹さん、ささみ待ちのポーズ。
   粘り強く、わたしの後を追いかけまわしながらじーっと見つめ続ける猫一家の頭領。


   ダイエットには成功したものの、そのおかげで一層活発になり、ありあまる体力を持て余している琥珀。放っておくと年上猫たちを追っかけ回してしまうので、日に4回は遊んでやる必要が出てきた。というわけで今日2回目の運動時間。琥珀の前にさっと猫じゃらしを出してやると、興奮のあまり瞳孔を真っ黒にして、視線を猫じゃらしに固定したままものすごい勢いで爪とぎで爪を研ぎ始める・・・って琥珀!それ爪とぎじゃなくてわたしの足の甲!ちゃんと前見て研いでー!!!

   お気に入りのリトアニア語のお料理ブログ、Neringos blogasryžių vyno actas の文字が出てきたので、これはもしや?とリトアニアの友達に訊くと、やっぱり米酢だった。身近にある日本の食材が海外のお料理ブログに登場するのは、なんだかとても新鮮な気持ち。

   WILLIAMS-SONOMA "Dinner Party" 読了。たとえば真っ白なテーブルクロスの上に、草色のガラスや黄緑色のマドラー、グリーンと黄緑の濃淡が美しい葉っぱでアクセントをつけた、木陰のディナー。シルバーやクリスタルの燭台に、濃いブラウン、キャラメル色、淡いベージュなどの背の高いキャンドルを並べ、アクセントに、シルバーのナプキンリングで留めた濃いチョコレート色のナプキンをあしらったエレガントなディナー。お料理の魅力的な佇まいもさることながら、テーブルの上のリネンやカトラリー、食器や花、それぞれの色や質感、素材の組み合わせが目に心地いい。レシピの中で今1番作ってみたいのは、"Orzo salad with basil and heirloom tomatoes" とそれを添えた "Grilled halibut with herb butter"。オルゾ、ここらへんで手に入るかなあ。




   生ハムでモッツァレラを巻いて、2種のオリーブとオリーブオイルでマリネした前菜。




   定番のモッツァレラとトマトのサラダだけど、わたし的に1番のごちそうは、台所の出窓で自分で育てたこのバジル。
   というか手塩にかけすぎて、「ああああああ〜 食べちゃうの? 食べちゃうのか〜」と動揺。





   そしてメインディッシュは




   鶏とポテトのローズマリー風味。
   鶏はふっくら仕上がり、じゃがいもには鶏の旨みがしみて、とてもおいしかった。



   *   夕食   *
   赤ワインで。
   ・ガーリックトースト。
   ・生ハム巻きモッツァレラのマリネ。
   ・カプレーゼ。
   ・鶏とポテトのローズマリー風味。






      アイスティー。

     Sun.7.8.2011 



   ヌワラエリアで作ってみたアイスティー。
   そのおいしさにびっくり。
   カップ&ソーサーは、Cambridge 社の "ROSE POINT" #3400。
   Acid engraving(アシッド エングレイヴィング)という技法が使われている。
   驚くほど繊細に刻み込まれた薔薇たち。



   あ、暑い・・・とろける・・・あまりの暑さに仕事部屋の冷房はかけてみるものの、冷房に弱いのでつけたり、消したり、かえってエコじゃない事態に忸怩たる思い。

   午後3時、水出しして冷やしておいた紅茶を賞味。初めてヌワラエリアをアイスティーにした。1Lの水に12g の茶葉で5時間水出したのだけど、あと数時間は水出ししていいなあという感触ながら、香りも良くおいしい!うわ、アイスのヌワラエリアもこんなにおいしいのか!

   ここ数日、夕食後の2〜3時間をこれまでに読んだ部分の Tanith Lee "Venus Preserved" のノート作りに使っているが、お、終わらない・・・!でもこのまま先を読み進めてしまうと単語を覚えるチャンスを逃してしまうこと必須なので、よろけつつもちょっとがんばってる今日この頃。作中で言うところのGreek-Latin の読みがよくわからない上に( Phaetho ってなんて読むんだろう。パエト?)、そもそもわたしの文字を書くペースがあまりにもゆっくり過ぎ。

   この夏は、早々と買っておいたクールジェル敷きパッドを使っている。なかなかの効果で、かなり暑い夜でも弱い冷房で寝られる優れもの・・・なんだけど、ベットメイキングが終わってからお風呂に入って戻ってくると、往々にして勝手に乱入した猫たちがその上に密集して寝ているというショッキングな事態。猫たちの高い体温の熱をしっかり吸収してぬくもってくれている優秀なジェル敷きパッド・・・ていうかこの状況で寝られるか!




   なめたけが煮上がったので、叩いた梅干しとかつおぶしを混ぜて、冷奴に。美味!




   ちっとも飽きない水茄子。




   超ピンぼけてるスープ。
   昆布とかつおぶしでしっかり出汁を取った上に鶏ひき肉からも旨みが出ているので、
   外見は地味だがたいそうおいしい。
   そして私!冬瓜を大きく切り過ぎだ!





   頂きます!


   *   夕食   *
   ・焼き鮭。
   ・冷奴のなめ茸添え&青紫蘇。
   ・きゅうり漬け。
   ・水茄子。
   ・モロヘイヤ、冬瓜、鶏ひき肉、卵のスープ。






      ペリエペンギン。

     Sat.6.8.2011 



   夢のような。
   かき氷のときと反対に、水には紫色が先に溶け出していき、ペンギン氷は青を濃くしていく。





   そうして最後、ペリエは美しい紫に染まる。


   リトアニア語で書いた8月1日の日記。

   Šiemet čia labai vėsu, jaučiasi taip lyg jau ruduo atėjo.    今年このあたりはとても涼しくて、もう秋が来たみたいだ。

という文章を読み返して、思わず 「嘘だッ」 と叫ぶ猛暑の朝。なんだったのだろうあの涼しさは。まぼろしかしら。ゆめかしら。

   日中、ルースの整理・・・をしていたはずが、ふと気がつくと自分が、志半ばでスライムに倒されたLv.1 勇者、もしくは探偵もの漫画に出てくる「ダイイングメッセージを書き残した被害者」みたいな右腕を伸ばしたポーズで、ルースボックスを握ったまま床に倒れてうつ伏せで寝ているのに気づき、驚愕する。うわーもう午後3時過ぎですよ・・・!おまけに全猫が周りで添い寝してますよ・・・!これは時間泥棒にワイルドに時間を盗まれたということに違いない、と自分に言い聞かせる。

   テーブルの上に忘れられたコップ、廃墟すら消えそうで、砂漠の砂がすべてを侵略していく。
   コップから奇跡の水があふれ、小川に広がっていく。(野中雅代訳)

   レメディオス・バロ『夢魔のレシピ』再読。「眠れぬ夜のための断片集」という副題が冠せられているが、眠れない夜にこれを読んだらより眠れなくなること間違いなしな気がする、シュールないたずら心に満ちた文章や見た夢についての記述、不条理な物語、描いた作品とその説明などが納められている1冊。レメディオス・バロの絵は、画集やウェブで見ただけで、残念ながら実際の絵は1度も見たことがない。日本では1999年に展覧会が1度あったきりだった気がする。また日本で展覧会が開かれるといいなあ。




   この鮮やかな色に夏の幸福を感じる。




   Gambas al Ajillo(海老のガーリックオイル煮)を!と思ったんだけど、
   この暑さでオイルたっぷりは視覚的につらいかなーと普通にソテー。
   立錐の余地もなく並ぶ海老。





   トレビスを器にして、ライムとタバスコを利かせたタコと赤玉ねぎのサラダを入れてみた。
   うちのご近所でもトレビスが買えたという驚き。



   *   夕食   *
   ライムを入れたペリエで。
   ・ズッキー二、パプリカ、ブラックオリーブのソテー。ズッキーニは先にガーリックと一緒にじっくり焼いておいて、
     パプリカは歯ごたえを残すようにさっと火を通した。
   ・ガーリックと赤唐辛子でソテーした海老。
   ・たこと赤玉ねぎのサラダ、ライムとタバスコ風味+トレビス。
   ・バゲット。






      おめかしペンギン。

     Fri.5.8.2011 



   フローライトより儚く、紫陽花よりかろやかな。


   お客さまから、ドライのマロウのプレゼントと共に、それを使って氷を作る方法を教えて頂いた。ありがとうございます!まずは、普通にハーブティーを作る時の2、3倍の量のマロウをお水に入れてしばらく置くと、綺麗なブルーのお茶になる。それを凍らせるのだ。凍らせたマロウのお茶は、パープルとブルーにきれいにグラデーションを描いていて、真っ白なかき氷によく映える。




   この感動的なまでの綺麗さで、先日来のトラウマを拭うべく、スミレのジュレを。




   淡いピンク色のジュレをのせて、ふと気がつくと・・・青の色素だけが氷に溶け出してる!不思議・・・


   このあと、かき氷はほんのりした甘みのジュレで、ペンギンたちはペリエに浮かして頂いた。そのときペリエに起きた変化もとても綺麗だったのだけど、それはまた明日。そして夢中になってペンギン in ペリエを眺めつつかき氷を頂く間、クリスティナのことは思い出しもせず。もしかしてこれは、記憶の上書き成功?

   話変わって。お気に入りのねずみのおもちゃを投げると咥えて戻ってくる、という「取って来い」が自然に出来ていた琥珀。それが、ここのところの暑さで調子がおかしい。ぽーんとねずみのおもちゃを投げるとダッシュで追いかけていくところまではいいのだが、おもちゃに飛びついた後、そのまま咥えずに普通に戻ってきてしまう。澄んだ目で「投げて?」って足元で見上げられても。ねずみが無限に出てくるわけないでしょうが。わたしはねずみピッチングマシーンじゃありませんよ・・・




   じっくり焼いた茄子があまーい。
   味のアクセントに、フェタチーズのキューブをぽんぽんと。
   窓辺のバジルを飾りに。





   カルパッチョには、ピンクペッパーの香りの良さと甘みが欠かせない。
   ランチョンマットはバスク織り。洗濯を繰り返して、ふっくらといい風合いになってきた。





   こんがり。


   *   夕食   *
   赤ワインで。ちょっと重めのイタリアワインの赤、次第に開いてきておいしくなった。
   ・トマトと焼き茄子のサラダ。にんにくを利かせて、フェタチーズをプラス。
   ・真鯛と蛸のカルパッチョ。
   ・焼いた鶏手羽。おいしい塩で。






      キプロス民族音楽愛聴家(嘘)。

     Thu.4.8.2011 



   もはや、No 桃 No ライフ。


   日中何も食べないで夕食に突入というパターンが多すぎるよ!というわけで、鋭意桃を食べてみる今日。太陽が照っている間は、水茄子か桃かメロンがそばにいてくれればいい・・・

   ところで。

   神さま、懺悔します。わたしは嘘をつきました。

   顛末を書くと。今日は作品の発送を終えてから学校の日。でもその前に時間があったので、ここしばらく行きたかったリフレクソロジーへ。やっぱりリフレクソロジーがわたしには1番合っている気がする。気持良くほんわりすっきりしたところで、施術後のお茶を出して頂いた。お茶を飲みながらリフレクソロジストの綺麗なお姉さんとお話しているうちに、なぜか話題は音楽のことに。「最近はどんな音楽を聴かれるんですか?」とにっこりと訊かれて「キ・・・」と素直に答えかけたものの、はっと我に返って「・・・プロス共和国の民族音楽です。」と急カーブを切る。おねえさん=見るからに頭に疑問符がいっぱいながら、笑顔をキープ。わたし=極端に挙動不審。ああ真っ赤な嘘をついてしまった。キプロス共和国の民族音楽なんて聴いたことないよ!でも、ヒーリングミュージックが流れる瀟洒なサロンで、『キッチンでカッパがタニシ茹でてる』って言う勇気がなかったんだ。ごめんカッパ・・・ごめんキプロスの人たち・・・

   学校では、苦手な技?じゃないな技法?があってこのところずっと練習していたのだが、今日ようやく先生に褒められてハッピー。でも実のところ、あまりにもずっと練習しすぎて、もはや上手くなったのかどうか自分ではわからない。お菓子作りとかでも試作し過ぎるとそうなるよね・・・

   行き帰りの電車の中で、Tanith Lee "Venus Preserved" を強引に2章の後半あたりまで読む。辞書はほとんど使わず、我ながらあまりにも溢れすぎている想像力を駆使して読む。たぶん・・・大筋は・・・合っている・・・はず・・・。これは The Secret Books of Venus シリーズの最終巻なんだけど、古代から未来へと時間軸がぽんぽん飛ぶので、面食らう。そして、主人公の母に当たる、ある種の獣のような flat and yellow の瞳を持つ魔女が怖すぎ。そして魅力的すぎ。そして素敵に怖い発言ばっかり連発するところがうちの母に似すぎ。お母さん、こんな登場人物であなたのことを思い出したくはありませんでしたよ。

   Tanith Lee と言えば、Paradys シリーズ3巻の方で意味が分からず苦戦している段落があるのだが、日本人、アメリカ人、カナダ人に各々質問した結果、それぞれの解答が異なり、加えて皆に「この段落だけじゃわからない。前後の文章も見せて。」と言われてそうかと見せたところ、「ごめん、やっぱ見ても意味わかんない。」と言われる、という結果を得た。ええ、理解してます、そこは全然物語の本筋に関係ないところだって。でもこうなると気になって気になって、作者本人にファンレターならぬ質問状を送ってしまいそうな自分がこわい。




   冷たいスープ。
   ベースは鳥ガラ、具は冬瓜と片栗粉でとろっとした衣をつけたささみ。





   なぜかホーリーな感じに光り輝いている水茄子のお刺身。


   *   夕食   *
   ・撮りそこねたけれど、甘めの醤油味でさっと煮たゆでたまご+焼豚。
   ・冬瓜とささみのスープ。
   ・水茄子のお刺身。
   ・ビール。ええそうです、ビールはごはんじゃありません。






      クリスティナその後。

     Wed.3.8.2011 



   NOIR。




   クラシックな函の中身は




   スミレたち。


   3時に用意したバニラアイスクリームにスミレの砂糖漬けをのせたのは、ほんの気まぐれ・・・のつもりだった。けれど、さくっとした歯ごたえと共にスミレの香りが立ち昇るのを感じた瞬間、「うわークリスティナ!」とのけぞる。彼女のまとうスミレの匂いは、物語の中の重要なファクターのひとつになっているのだ。どうやら無意識のうちに、スミレという単語が意識の中に残っていたらしい。というか、ああ、もしかして、スミレ=クリスティナという刷り込みがされちゃったわけ?今後の全人生において、スミレの砂糖漬けを口にしても、スミレのジュレを頂いても、マドモアゼル・クリスティナを思い出すわけ?それはちょっと、かなり、嬉しくない気分・・・しばらくぼうぜんとしてから、とりあえず、今日偶然知った名曲 『キッチンでカッパがタニシ茹でてる』 を口ずさみながら中華麺を茹でて気を取り直す。





   ELLE a table のお料理カードより、エスニック汁なしラーメン。
   ナンプラー、オイスターソース、XO醤、ごま油、おろしにんにくなんかを混ぜたたれをかけて頂く。
   おいしかったんだけど、苦手な香菜を迷わず使わなかったら、緑が、ない。
   あさつきでも振ればよかったな・・・

   このお皿はArabia の Oma 。写真では一見そうは見えないが、ものすごく大きい。
   もう動けないほどおなかいっぱい・・・





   ナンプラーで味つけした、もずくと葱のスープ。

   スープボウルは、スージークーパー "Highland Grass"。
   落ち着いていて、好きなシリーズ。
   1956年に発表された、近年のデザインだが、あまり見かけない。
   製作が始まってあまり経たないうちに、工場の火災があったからだと
   アンティークショップの方から聞いたことがある。





   そしてビール。
   グラスの中身はエビス。



   *   夕食   *
   ・エスニック汁なしラーメン。写ってないけど、もやし。それから、焼豚、玉子、フライドオニオン添え。オニオン、頑張って揚げてよかった。
   ・葱ともずくのスープ。搾菜とか入れても良かったかも。
   ・ビール。というかビールはごはんじゃありません。






      ふくろうノート。

     Tue.2.8.2011 



   超こっちを見ている真鍮のフクロウ。
   木で出来ているように見えるけど、そういう加工をした革の装丁。



   子供の頃から、分厚いノートが好きだ。それも革装丁だとか、真鍮の古めかしくも重々しい鍵付きだとか、古式ゆかしいマーブル紙での装丁とか、四隅にメノラーとか、そういうなにか魔法書のようなノートが好きだった。

   その好みは今でもまったく変わらず、ゲームの Myst シリーズなんて、そこら中に手の込んだ装丁の本やノートがあるという1点だけでもう心ときめく。そして大人になったわたしは、海を越えた国のノートを買うという楽しみを覚えた。中でもイタリア製のノートは、まさに好みの、魔法書っぽい手の込んだデザインが多くて嬉しくてならない。

   このフクロウノートは、個人的な夏休みの課題&愉しみとして読んでいる Tanith Lee のThe Secret Books of Paradys V用のノートにした。LE LIVRE BLANC ET NOIR 白と黒の書という副題からして、もうこのノートしかないという感じがする。

   あなたのお祈りなど怖くないわ・・・・・・。あなたは1人の生者にすぎません。
   私は別の世界から来るの。あなたには理解出来ないでしょう、誰も理解出来ないの。(住谷春也訳)

   ミルチャ・エリアーデの初期の作品 『令嬢クリスティナ』 読了。若くして惨殺されたといわれる令嬢の肖像画。屋敷内に漂う奇妙な気配。一見感じが良いように見える上品な人々の背後に見え隠れするものは、狂気なのか、それともこの場所で本当に何かが起こっているのか?やがて、死せる乙女マドモアゼル・クリスティナを中心に、それぞれの登場人物の感情や思惑が渦の一端を担って、最初に感じていたわずかな違和感は大きな怪異へと変貌していく・・・穏やかな日常の中に宿るほのかな不安感が漂う序盤から、マドモアゼル・クリスティナが属する「あちらの世界」の存在感が増大し、日常を呑みこんでいく過程は圧巻。この本には、祭りの後の直会のような、あちらの世界からこちらの世界への再移行を成し遂げるすっきりとした爽快なラストはない。そのことが、いつまでもこの小説の余韻を漂わせるかのようだった。




   さて。古いものだけど、モダンなデザインのお椀の中は




   干し海老と冬瓜の吉野煮。




   時折無性に食べたくなるつるむらさき。
   ガラス皿は、西山芳浩さんの作品。





   そして、たいそうお買い得だった真鯛。
   小さいけど、味はしっかり真鯛でおいしかった。
   猫たちに4分の1を持って行かれたけど・・・



   *   夕食   *
   ・干し海老と冬瓜の煮物。昆布とかつおぶしから引いたお出汁を使った。
   ・茹でつるむらさきと納豆。上に細く切った海苔を振って。
   ・真鯛の塩焼き。化粧塩を忘れてしっぽが炭化。
   ・じゃがいもと茄子のお味噌汁。吸口はあさつき。
   ・きゅうり漬け。





      天上の蒼。

     Mon.1.8.2011 



   朝顔「天上の蒼」。


   人生は思いがけない驚きに満ちている。ひんやりして気持ちいい木の床に座って髪を結っていたら、いきなり飛びついてきた琥珀によってかんざしが後頭部に刺さる、そんな朝。もしもし琥珀さーん・・・?

   何かが好きだったら、その瞬間にその「好き」を満喫するのは大切なことだ。それはその時にしか出来ないことだから。ある瞬間に好きだった何かが永遠に同じように好きだという保証はない。いつの日か遠く離れた時間にそれに触れても、その身を切られるような鮮烈な「好き」は決して戻らず、そこにあるのは淡く薄まった記憶の残像や残り香や懐かしさだから。というわけで、ロレンツ・オーケンの本のクラゲやら一角やら鯨やら、海洋生物ぎっしりな博物画を眺めてうっとりと午後を過ごす。この鯨、絶対笑ってる・・・

   『アガサ・クリスティの晩餐会』再読。アガサ・クリスティの小説に出てきた料理を(推測を混じえて)「再現」した本。美しく、それでいて「死の女公爵」の名を冠せられたクリスティにふさわしく、ブラックなテイストをまじえて撮影された料理の写真が素晴らしい。クラストがきつね色にぱりっと焼き上がったアップル・トルテの後ろに写る、POISON とラベルが貼られた古めかしい瓶。クリスタルのジャム入れの中で宝石のように輝く色鮮やかなオレンジ・マーマレードを警備するミニチュアのイギリス警官。 " A Murder is Announced " を読んだ人ならきっと皆にやっとしてしまうであろう、「甘美なる死」と名付けられたチョコレートケーキの上に散らばる、きらきら輝くガラスの破片。




   さて今日のごはんは




   ELLE a table のレシピで、ビーフストロガノフと
   (あ、ナイフとフォーク、逆に置いちゃった・・・)





   ライムを利かせたサラダ。


   *   夕食   *
   赤ワインと一緒に。
   ・ビーフストロガノフ。なんだか甘めだった。マルサラ酒が足りなくて、半量をケチャップ+赤ワインで代用したからかなー
   ・蛸+アボカド+トマトのサラダ、ライム風味。。
   ・相変わらずのお気に入り、シエラ・デ・アルバラシンの羊乳チーズ。





   

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