June   2010

   




      オーブン!

     Wed.30.6.2010 



   た、平らだ・・・

   冷蔵庫購入で貯まったポイント。どうしようかとそわそわ考えた結果、この家に来たときからお世話になっていた1986年製のオーブンレンジを買い換えることにした。まだまだ現役ながら、サイズが小さいのが難点で、たとえばオニオンスープだったら1度にスープ皿1つずつしか料理できず、焼いたことはなかったけれど、もしもパンを焼いたなら1回分の生地を焼き終えるのが1日仕事になりそうな大きさだったのだ。

   さて、うーんどれがいいんだろう・・・とあまりにいろいろ調べすぎて逆に訳がわからなくなったりしつつも、ようやく決定した機種が今日届いた。最初の難関は1m20cm の棚の上からこれまでのオーブンレンジを降ろし、掃除してから新しいオーブンレンジをのせることだ・・・と思いつつ、箱からオーブンレンジを取り出そうとしたが、お、重い!あまりの重さに心が折れそう・・・ていうかむしろ肉体の方が鯖折りになりそうですよ。この時点ですでに挫折しそうだったが、がんばれわたし!と自らを励ましつつ、セッティングをどうにか終える。棚にのせるべく新しい方のオーブンレンジを持ち上げかけた瞬間、その上にぽんと琥珀が飛び乗ったときには、耳からエクトプラズムが出そうだったが。

   電源が入ったところで、まずはお試しで一品、ということでグージェールを。要は、シュークリームの皮部分の塩味版だ(みもふたもない)。中にグリュイエールを入れて小さめに焼いてワインのおつまみにすることが多いのだけど、今日は、長尾智子さんの『スープブック!』仕様の大きめグージェール。まずは書かれている量を半量にして、レシピではグラニュー糖が入るけど甘くないほうがいいので入れるのを止めて代わりに塩を2倍弱に、生地の半分はベーコン、半分はローズマリーとレーズンになっているけど、これも甘くない方がいいので、レーズンをブラックオリーブに変更して製作した。




   というわけで、完成。
   こんがり。



   ベーコン。




   ブラックオリーブ&ローズマリー。


   本では25分とあったところを、途中前後を入れ替えつつ中段で35分焼いてこんな感じ。それでもまだもう一呼吸焼いてもいいかな?くらいの焼き加減だ。だがそれよりもなによりも驚いたのは、中に回転皿がなくてフラットになっていたことと(仕様を知ってはいたが、実際に目撃してカルチャーショック)、余熱がまたたくまに終わったこと(庭にのんびりローズマリーを摘みに行っていたら、もう余熱が終わっていて大慌てで生地を仕上げる)、そしてなによりも作動音がすごく静かなこと!これまでのオーブンは、スタジオジブリ作品に登場する空飛ぶ戦艦ばりの「ゴウンゴウンゴウン」って音がしてたのに、新しい方はまったくと言っていいほど音がせず、「ほんとにだいじょうぶ?窓のところに手をかざすと熱は伝わってくるけど・・・でもほんとにほんとにだいじょうぶ?」と不安になって延々オーブン前に立ち尽くしてしまうほどだった。たぶん「ほんとにだいじょうぶ?」と問うべきだったのは、これまでのオーブンレンジの方だったのかもしれないけれど。

   さて、今夜の残りのメニューは何にしようかな?と考えつつ、とりあえずサングリアを作ってみる夕暮れなのだった。




   夕暮れサングリア。
   このガラスのピッチャーは、中の果物や氷がグラスにぽちゃんと落ちないような工夫がしてあって
   「サングリア用」と銘打たれていたもの。
   このピッチャーが登場すると、もうじき夏だなあという気持ちになる。


   というわけで夕食。



   まずはサングリア。
   甘さ控えめが好み。
   今日は、大石プラム、桃、レモンで製作。
   ワインでマリネされた果物をデザートで頂くのも楽しみ。




   まずは2種のグージェールと



   すでに定番となった、トマト、アイスプラント、蛸のサラダ。
   このサラダには柑橘系の果汁を使ったドレッシングが合う。
   今日はレモンで。




   飲み物をワインに切り替えて、メインのマスタードチキン。
   新しいオーブンのレシピブックにあったメニュー。
   皮と身の間に粒入りマスタードベースのソースをはさんで焼く。
   皮に焼きむらが出来ちゃったけど、ぱりぱりして美味。



   最後にボッテルガを。

   *   夕食   *
   ・トマト、アイスプラント、蛸のサラダ。
   ・オリーブとローズマリー、ベーコンのグージェール。
   ・マスタードチキン、グリルしたカラーピーマン添え。
   ・ボッテルガ。






      梅雨。

     Tue.22.6.2010 



   "隅田の花火"。
   ほの昏い雨の庭に、そこだけほんわりと光が灯ったかのよう。

   基本じーっとしているのが好きなわたしが、人生初というほど移動の多い日々を送っているこの初夏。家に居られる時間は貴重なので、お漬物を作ったり、来年の初鰹のためににんにくを醤油に漬け込んだり、あれこれ動き回っている。今日は、お願いしておいた丸洗いにお布団を出そう!とよろけながら布団を運んできたところ、




   「我物想う・・・」
   外でやれーーーー!!!

発送用の布団袋の中に琥珀を発見。ど・・・い・・・て・・・(布団の重量に息も絶え絶え)

   蒸し暑いので夕食はさっぱりとしたものがいいなーとこんなメニューに。寒さにも暑さにも湿気にも弱いのは仕様です。



   堀井和子さんのレシピ。
   薄切りにして天塩、しょうゆ、太白ごま油と和えたみょうがと、
   茹でて薄皮をむいた枝豆を炊けたごはんに混ぜるだけ。
   簡単でおいしい。




   煮豚の薄切りに白髪ねぎをのせて、青紫蘇でくるんでぱくり。




   いい味が出ている、煮豚を煮たスープを使って。


   *   夕食   *
   ・茗荷と枝豆の混ぜごはん。
   ・煮豚、白髪ねぎ、青紫蘇+煮卵。
   ・豆もやしと黒木耳のスープ。






      稼動。

     Sun.18.6.2010 



   冷蔵庫稼動開始。
   記憶力がないので、お味噌など中身が固定の食材は深さのある琺瑯容器、
   それ以外の移り変わりのある食材はガラスのキャニスターに入れている。

   今度の冷蔵庫は氷を作った後、自力で製氷室に開けてどんどん蓄えていってくれる・・・んだけど、昨夜は、冷蔵庫からがたん!という音が聴こえるたびにびくっとしていたわたしですよ。そして、クコの実や干し椎茸がキャニスターごと冷蔵庫の中で動き回っている夢を見た。どんな付喪神だ。

   さて一夜明けて冷蔵庫もしっかり冷えたところで買出しに。葱や大根が丸のまま1本野菜庫に仕舞えるというのは感動的。葱はこれまで籐の野菜籠に入れていたんだけど、やっぱり野菜庫の方が保ちがいいのだろうか?

   先週の木曜日にらでぃっしゅぼーやから届いたレタス。夕食のお味噌汁にも入れたのだけど、まだ残っている。せっせと料理しているのに、どうしていつまでもなくならないのだろう・・・ひょっとして夜の間にこっそり内側で葉っぱが数巻きずつ増えているのだろうか。ラヴェルのボレロをオートリピートで聴きながら掃除をしているときのような、「永遠に終わらない感」をひしひしと感じる。




   ふと気がつくと、わたしの横で猫たちが熟睡中。



   紅葉さん、舌が出てますよ・・・



   おかあさん猫のたんぽぽが琥珀を毛繕い。



   紅葉が来たばかりの頃も、最初はハーハー威嚇してたけど
   やがては毛繕いして可愛がって、実の子たちと一緒に育てあげたたんぽぽ母さん。



   そして、なんだかんだ言ってみんなに可愛がられている末っ子猫。


   夕食はひさしぶりに丼物で。長芋は歯ごたえを楽しみたかったので、摩り下ろすのではなくビニール袋に入れて麺棒で叩いたのだけど、そんなわたしに向けられる、なにか途方もない惨劇でも見ているかのような猫たちの視線。君たち、わたしは長芋を虐待しているわけではなく、料理をしているのだよ・・・




   いただきます。



   改めて眺めると、海苔の幅の不揃い加減から
   自分がいかに空腹だったかが伝わってくる・・・
   



   全体を煮てから圧力鍋で仕上げ。
   その甲斐あってお肉は柔らかく仕上がったんだけど
   取り出すのを忘れて一緒に圧をかけてしまった獅子唐が謎の平たい物体に。
   ああッ
   うずら卵はちゃんと忘れずに出しておいたのに・・・




   デザートはアメリカンチェリー。
   3食さくらんぼでもいいような気がするくらい好き。

   *   夕食   *
   ・長芋とめんたいこ丼+海苔。
   ・豚肉、こんにゃく、獅子唐、うずら卵、にんにくの煮物。
   ・えのき茸とレタスのお味噌汁。





      冷蔵庫到着!

     Sat.17.6.2010 



   紅葉。
   とても陽気で、無口、そして超のつくこわがり。
   迷子になっていたのを保護した野良王子で人はぜんぜん駄目で猫大好き。
   中でもむー兄ちゃんは見るだけでごろごろ言うほど超大好き。
   ホモサピエンスの中ではわたしにだけ懐いているが
   それでも立ち上がったり急な動きをするとすぐにすっとんでどこかに行ってしまう。
   一眼のシャッター音に驚き、この写真の直後に2階へ逃亡。

   午後に新しい冷蔵庫が到着。おにいさん2人にリサイクルに運び出されていく冷蔵庫に心の中で手を振る。これまでほんとにありがとうね。

   そして新しい冷蔵庫は、これまでより少し大きいくらいの外見なのに、収納量が桁違いに増えていてびっくり。これまで、本当は冷蔵庫に入れた方がいいんだろうけどスペースがないからなーと外に出しておいたスパイス類もするすると収まって尚たっぷりとスペースが開いている。おお・・・と感動して眺めていたら、「長く開けすぎています」と警告のピーピーという音が鳴って飛び上がる。11年の経過は伊達ではない・・・

   さて、冷蔵庫は来たものの、今日の夏のような暑さもあいまって、完全に冷えるまでにはまだまだ時間がかかりそう。とりあえず出ていた食材を仕舞ってから、夕食は最寄駅の近くのおいしい居酒屋さんで頂くことに。ここはお料理もおいしく、お刺身の魚や貝もとても生きがよく、盛り付けも綺麗に整えて出してくださるので大好きなお店。茹でたてのシャコのおいしさに感動する。特においしかったのは、シャコの卵。オレンジ色の卵は濃厚で、シャコの旨みが凝縮されていた。




   じゃれて飛び掛ったり、背中によじ登ったり、
   やんちゃざかりでやりたい放題の琥珀を
   毛繕いしてあげる心優しいむーちゃんことのどか。



   うっとり・・・


   *   夕食   *
   外食。茹でたてのシャコ、それに立派な平貝と赤貝のお刺身が最高においしかった!





      カレーの日。

     Fri.16.6.2010 



   Desprez a' Fleur Jaunes デュプレ ア フルール ジョーヌが咲いた。
   甘いクリーム色にほんのり差したピンク色がとても好き。
   そして、果物のような瑞々しい芳香に陶然。

   明日新しい冷蔵庫が届くことになったので、今の冷蔵庫の中身を外に出して、最後の掃除。いつもの癖でぱたぱたと扉を開けたり閉めたりしながら中を拭いているうちに、「あ、もう開けっ放しで掃除していいんだ・・・」と気づいて、なんだかふとさみしい気持ちになる。11年間、ありがとう。本当にお世話になりました。

   ところで、いざ出してみて気がついたのだけど、冷蔵庫に残っていたのは、塩漬けのケッパーやドライトマト、オイル漬けのトマト、コルニッションに木耳、くこの実や梅干、ショートパスタ類などの、「外に出しておいても大丈夫そうだけど、冷蔵庫に入れたほうが質が保てるよね」あるいは「入れる必要はないんだけど、料理の手順上、冷蔵庫に入ってた方が使いやすいよね」というものがほとんどだった。バターもちょうど使い切ったところだったし、ほっと一安心。唯一これは出しておけないなというのは、冷凍庫の中の、買い置きのピタパンとパン。でもこれは搬入の直前に出して保冷剤と一緒に箱に入れておけばどうにかなるだろう。あと問題なのは野菜か・・・




   「なにここー しらないばしょー」
   掃除をしていると、いつのまにか台所に入り込んでいた琥珀が
   ぽんと飛び乗ってきた。
   好奇心旺盛で目が放せない。

   さて夕食はどうしよう。野菜をたくさん使えて、でも残っても冷蔵庫が使えないから、冷蔵しなくても大丈夫そうな料理は・・・というわけでカレーを製作。牛肉を買い足して入れはしたが、「これはビーフカレーです」なんて言ったら、虚偽罪で世界カレー協会から暗殺者が送り込まれそうなほど野菜が盛り沢山のカレーとなる。茄子、ズッキーニ、オクラ、トマト、人参2本に玉ねぎ入り・・・だったんだけど、なぜかこれだけ写真を撮り忘れる。あれ?

   ところで煮込みの時、残っていた赤ワインを入れようとしてふと香りを嗅ぐと、ここ数日の暑さで完全にワインヴィネガーになっていた。あ、あぶな!なんて罠だ!




   前菜はスタッフィングされたオリーブと



   オリーブオイルでにんにくと焼いたズッキーニ。
   ところでこういうときに、必ず野菜グリッドを構成してしまうのはなぜなんだろう。



   カレーに添えたサラダは、昔のELLE a table より長尾智子さんのレシピで
   長芋と葉野菜のサラダ ゆずこしょう風味。

   *   夕食   *
   ・スタッフドオリーブ。アーモンドが詰めてあるのが1番好き。
   ・ズッキーニのソテー。
   ・夏野菜のカレー。
   ・長芋と葉野菜のサラダ ゆずこしょう風味。





      我が冷蔵庫の旅立ち。

     Thu.15.6.2010 

   その異変に気がついたのは、水曜日の朝のことであった。

   朝食を作ろうと開けた冷蔵庫から、いつものひんやりした風が流れて来ない。あれ?冷蔵庫がぬるい・・・?

   その後刻々と冷蔵庫は冷蔵庫ではなくなり、水曜日の午後には、とても冷たいはずの魚・肉用の場所が普通の冷蔵庫の温度よりもややぬるい程度、1番よく使う普通の冷蔵庫部分はすでに室温に変化した。そしてその室温というのは、ここ数日の気温にふさわしく、夏並みの、とってもぬくもりを感じる温度なのであった。そのまま夜には魚・肉コーナーも常温に変化。そして、幸いあまり残っていなかった食材を夕食で必死で片付けた翌日の今日、冷蔵庫を開けたわたしは立ち尽くした。や、野菜庫も天に召された・・・その瞬間チャイムが鳴り、ドアを開けるとらでぃっしゅぼーやの配達のおにいさんが立っていて、笑顔で段ボール1箱分の野菜を置いていった。

   ふ・・・ふふふふ。

   こ、これは・・・


   わたしへの挑戦だな!受けて立つ!


   とりあえず最初にしたことは、届いた野菜類を出来るだけ涼しく風通しのいい場所に移すことと



   「かかさん、ぱいなっぷるですよ」
   君が取ってきたわけじゃなかろうが。いつものことながら、なぜそんなに偉そうなんだ。



   「ふーむ。なんかとげとげしてるですよ」
   いいから箱から出なさい。

琥珀さんをらでぃっしゅぼーやの箱から出るよう説得すること、そしてお昼用にレタスの中華風スープとレタスチャーハンを作ることだった。

   まだ活動してくれている冷凍庫さん、あと数日間どうか頑張ってください・・・




   番外。
   わたし「うさぎ。」
   牡丹「・・・。」
   わたしの奇行にワニ目の牡丹。


   *   夕食   *
   新しい冷蔵庫の配達の手配をしたり、てんやわんやで写真を撮るのを忘却。
   ・ズッキーニ、パプリカ、運良く冷凍庫にいた鶏ささみのソテー。
   ・千切り長芋の梅酢和え。
   ・ほうれん草のおひたし。





   

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